2022 Fiscal Year Annual Research Report
東日本大震災後の福島県中通り地方の幼少児の体力及び関連要因に関する縦断的検討
Project/Area Number |
21K21272
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Research Institution | Hijiyama University Junior College |
Principal Investigator |
長野 康平 比治山大学短期大学部, その他部局等, 講師 (60911055)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 東日本大震災 / 子ども / 体力 / 屋外活動制限 / 身体活動 / 生活習慣 |
Outline of Annual Research Achievements |
東日本大震災に伴い発生した福島第一原子力発電所事故の影響により、福島第一原子力発電所周辺の幼少児の屋外活動は大きな制限を受けた。幼少児期の子どもにとって、外遊びや運動をはじめとする屋外での身体活動が制限されることは極めて重大な問題である。その後の健康指標との関連の問題から、大規模災害後の体重変化に関する報告は数多くなされているが、体力に関する研究は少なく、長期的な視点からの研究は実施されていない。 本研究では、東日本大震災後に長期間にわたり屋外での活動が制限された福島県郡山市の幼少児の体力・運動能力等の縦断的なデータを解析することにより、震災後の幼少児の体力・運動能力のトラジェクトリーに関連する要因を解明することを目的としている。 2021年度・2022年度には、東日本大震災から10年後の4歳~15歳約27,000名の体力・運動能力やそれらに関連する要因のデータの収集を行った。収集したデータは、体力・運動能力の評価には,幼児はMKS幼児運動能力検査,小中学生は文部科学省新体力テストを実施した。関連要因としては、基本的な生活習慣等に関する質問紙調査、各施設(保育所・幼稚園・小学校・中学校等)における体力向上に関する取組状況に関する調査を実施し、それらの解析を行った。 得られた結果(体力について)は、次のように要約できる。①肥満傾向の児童生徒の割合が多い。②体力は全体的には男子は全国より低く、女子は項目によって低い。③全体としては、平成24年度以降は向上傾向。④震災前の全国値と比べると男子は依然低く、女子は同程度。⑤握力は、震災後も全国とあまり差がない。⑥反復横とびは震災後に全国と同程度まで向上した。⑦震災後に向上はしているが依然低値の項目(20mシャトルラン、上体起こし)もある。⑧ボール投げは低値のままである。⑨幼児期から低値の項目も散見される。
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