2021 Fiscal Year Research-status Report
Effectiveness and avoidance of side effects of ARNI, SGLT2 onhibitor, MRA, and beta blockers in acute heart failure patients
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21K21277
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
清重 映里 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, リサーチフェロー (30911432)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | AI / 循環器 / 薬剤副作用 / 疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
心不全患者の多くは併存疾患を有するため治療薬選択が困難であるが、4剤併用(ARNI、SGLT2阻害薬、MRA、β遮断薬)で従来薬よりも死亡・悪化リスクを回避することが可能となった。しかし当報告はシミュレート値であり、実際の観測値ではない。本研究は、観測データに基づき、急性期心不全入院患者を対象に、4剤併用が死亡・心不全悪化リスクを軽減するかを検討する。加え4剤併用の副作用回避方法の探索のため、予測モデルでアウトカム発症予測確率を低下させるため反実仮想AI(counterfactual AI)を作成し、暴露要因修正案を提案する。 今年度は心不全入院患者4,026名のデータを用いたが、2剤(ARNI、SGLT2阻害薬)の使用情報がなく、また死亡の情報も少数のため、『どの薬剤が副作用(入院中のAcute Kidney Injury; AKI)発生回避を実施できるか』検討した。 実施内容としては、機械学習の手法のXGBoostで予測モデルを構築した上で(Test Accuracy=77.73%、AUCROC=0.81)、機械学習の説明方法(counterfactual explanation)の一種のDiCEを実施した。「発症あり」と予測された症例に対して、「なし」と予測が変わるcounterfactualを探索し、「あり⇒なし」と変化する処方パターンを解析した。結果の一つとして、AKI発生のループ利尿薬使用患者に対するMRA処方でAKI発生を回避すると明らかとなった。これは、ループ利尿薬は電解質異常、血中尿素窒素の上昇をきたす頻度が高いことから、作用部位の異なる利尿薬(MRAなど)の変更が提案されたと考察する。22年度はデータを更新し、21年度に作成したモデルを用いて、本研究課題の4剤併用による死亡・心不全悪化リスクの軽減の検討と、薬剤副作用回避の検討を実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データ不足のためアウトカムや説明変数の設定を変更したが、制度の良い薬剤副作用発生予測モデルの構築、副作用回避の機械学習モデル(counterfactual AI)構築が実施できた。 具体的な方法としては、心不全入院患者4,026名を対象に、アウトカムを入院中のAKI発生の有無、特徴量を年齢、性別、直近Cre/eGFR、各薬剤の処方の有無などあわせて30項目とした。モデル構築アプローチとしては、機械学習の手法である勾配ブースティング法(XGBoost)で予測モデルを構築した上で(Test Accuracy=77.73%、AUCROC=0.81)、機械学習の説明方法(counterfactual explanation)の一種の実装方法であるDiCEを用いて、「発症あり」と予測された症例に対して、「なし」と予測が変わるcounterfactual(CF)を探索し、「あり⇒なし」と変化するCFの処方パターンを解析し、ルールを抽出した。その際、臨床上実現性のある制約条件を設定できるようなWhat-Ifインスタンスの生成を試みた。結果、処方薬の変更に関する組み合わせは、処方薬のレベルでも作用機序でグループ単に解像度とした場合でも、特徴的なクラスターが得られている。 データは最新のものにアップデートする予定で、その中には比較的最近に保険適応となったARNI、SGLT2阻害薬の使用患者も含まれることが期待できる。AIを用いた研究はモデル構築が大きな課題となるが、21年度である程度完成できており、22年度のデータ更新により、本研究課題の4剤併用による死亡・心不全悪化リスクの軽減の検討と、薬剤副作用回避の検討が実施できるため、おおむね順調な進展と思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
データは最新のものにアップデートする予定で、その中には比較的最近に保険適応となったARNI、SGLT2阻害薬の使用患者も含まれることが期待できる。加え、アップデート予定のデータには、死亡の情報の数も増加する予定であるほか、退院後の重篤な心疾患イベントによる再入院(MACE)の情報も加わる予定である。これにより、本研究課題の4剤併用による死亡・心不全悪化リスクの軽減の検討と、薬剤副作用回避の検討が実施できる。またこの更新により、データ数の増加が期待できるため、さらに予測精度が高くなると予想できる。加えて、DiCEによるcounterfactual explanationのクラスタリングの各グループについて、より精緻な解析を進めていく予定である。これにより、示唆的な変更パターンの発見と、その臨床的な意義(解釈)に期待する。得られた成果は国際誌への掲載、学会での発表を実施する。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス流行のため使用データに不足が生じ、研究テーマ遂行の要であるモデル作成が難航し、結果を得たのが21年度末であった。 そのため、旅費・学会費等が想定より少額の使用となった。 22年度はデータ更新後ただちに結果報告を実施できる環境となっており、学会発表・論文発表を実施する。加え、最終モデル構築の際に微細な調整が必要となると考えられる。そのためのデータ整備やモデル検討のsuperviseとして人件費・謝金が必要になると想定される。よって、22年度は21年度使用額より多く必要になるため、翌年度分に繰越請求する。
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