2021 Fiscal Year Research-status Report
合意モデルに基づく分散コミュニティ検出アルゴリズムの開発と理論的解析
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21K21282
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
清水 伸高 東京工業大学, 工学院, 助教 (10910127)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 合意モデル / 分散アルゴリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
実世界のネットワークにはコミュニティと呼ばれる密に結合したグループが複数存在することがある. ネットワークが与えられた時にどのノードがどのコミュニティに属するかを判別するタスクをコミュニティ検出と呼び, 様々な応用が考えられる. 例えばSNSなどのネットワークでは同一の嗜好や趣味などを持つ人物が集まりコミュニティを形成するが, そのコミュニティを判別し適切な広告を表示することでより大きな効果を得られる. コミュニティ検出はカットに基づく近似的な手法やグラフラプラシアンの固有ベクトルに基づく手法など様々なアルゴリズムが知られている. しかしこれらの多くは単一の計算機上で動かすことを前提に設計されたアルゴリズムであり, 近年発達している並列計算機などのHPC(High Performance Computing)技術を活かす分散コミュニティ検出アルゴリズムはあまり知られていない. 本研究では合意モデルと呼ばれる並列計算機上で容易に実装できる確率的プロトコルをコミュニティ検出に応用した際のパフォーマンスを理論的に評価する. これらのプロトコルは既存の分散コミュニティ検出アルゴリズムと比べて非常に単純でありノード間の通信量も少ない. そのためランダムウォークなどグラフ上の確率過程の解析手法を用いて理論的に解析できる. 特にk-Majorityと呼ばれるプロトコルを力学系の観点から解析し, その理論的な性質と実験を行い, 2021年度冬のLAシンポジウムにて発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コミュニティ検出の文脈ではラベルプロパゲーションアルゴリズムと呼ばれる分散アルゴリズムが実験的に良い性質を持つことが知られているが, その理論的な解析は未だに得られていない. 本研究では, 合意モデルにおいて知られるk-Majorityというプロトコルの確率的ブロックモデルというランダムグラフ上での振る舞いを解析した. k-Majorityはkが大きいときはラベルプロパゲーションアルゴリズムに近づく. 既存研究ではk=2,3という特殊ケースのみを扱っていたが, 一般のkに対する拡張は容易ではない. 特に, 本研究によって, kが大きいとプロトコルの計算時間が大きくなる一方でコミュニティ検出の精度が向上することが分かった. さらに, ラベルプロパゲーションアルゴリズムとk-Majorityを実装し数値実験によって比較し証明した結果が実際に成り立つことを確認した. これらの内容をまとめて2021年度の冬のLAシンポジウムにて発表した.
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Strategy for Future Research Activity |
7月にキングス・カレッジ・ロンドン助教のFrederik Mallmann-Trennのグループに1ヶ月間滞在し, グラフ上の確率過程に関する研究をする予定である. 合意モデルは分散計算の文脈で研究されているプロトコルだが, k-Majorityなどのプロトコルはその単純さゆえにグラフ上の確率過程の文脈で研究されており, これらを専門的に研究している彼らのグループとの討論は本研究にとって非常に有意義である. また, 合意モデルに限らずコミュニティ検出に有用な確率過程を考え解析していき, 論文として発表したい.
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Causes of Carryover |
複数の(海外含む)出張予定があったが新型コロナウィルスの感染状況によりこれらが全てオンライン開催となったため, 使用予定の予算の執行ができなかった. 次年度は7月にイギリスのキングス・カレッジ・ロンドンを一ヶ月間訪問しFrederik Mallmann-Trennらの研究グループと議論を行う予定である.
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