2021 Fiscal Year Research-status Report
Reliability of Information on Wikipedia based on Scholarly Bibliographic References
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21K21303
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
吉川 次郎 筑波大学, 図書館情報メディア系, 特任助教 (80908400)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 図書館情報学 / 計量書誌学 / 学術情報流通 / Wikipedia / 学際性 |
Outline of Annual Research Achievements |
Wikipediaでの学術文献に基づく信頼性の高い情報提供の定量的な評価の実現を目的として,初年度である2021年度は,以下のことに取り組んだ. (1) これまでに申請者が開発した,Wikipedia記事中で任意の文献参照が初めて登場した時点 (初出時点) を高精度で特定可能な手法を2021年10月時点の英語版Wikipediaに適用し,31万件の記事における147万件の文献参照を対象としたデータセットの構築を行った. (2) 前述したデータセットに関するデータ論文を執筆し,国際英文誌 (Scientific Data) にて発表した.さらに,同データセットを対象とした分析を通じて,英語版Wikipediaにおける文献参照について,文献の公表年,参照追加のタイムラグの分析に取り組んでいる.これらの分析結果に基づく原著論文を執筆中である. (3) Wikipedia上での文献参照の追加における編集者の活動自体が分野横断性 (学際性) であることから研究アイデアを敷衍させ,アカデミアにおける研究活動 (研究成果としての論文の発表) に着目し,学術ビッグデータを用いた学際性の動向分析を行った.この分析結果を国際会議 (A-LIEP 2021) にて発表した. また,(1) から (3) までの研究に取り組むなかで,新たに,(4) 学術文献の識別子 (デジタルオブジェクト識別子,DOI) 自体の正確性・安定性に関する研究課題を見出したため,DOIの大規模データセットを用いた実証研究にも取り組んでいる.この研究成果については,今後,原著論文として投稿し,公表する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画のうち,(1) 英語版Wikipediaにおける文献参照の初出時点データセットの構築,(2) 同データセットの分析を通じた,文献の公表年,参照追加のタイムラグの解明がおおむね予定通りに進んでいる. 特に,(1) については原著論文として研究成果を公表したほか,(2) についても核となる分析結果が得られており,原著論文の投稿に向けた検討を進めている. これらの進展に加えて,今年度は,学術ビッグデータを用いた学際性の動向分析に関する研究成果を公表したほか,新たな研究課題として,学術文献の識別子 (デジタルオブジェクト識別子,DOI) 自体の正確性・安定性に関する分析についても並行的に進めることができた. 以上のことから,おおむね順調に進展していると自己評価する.
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Strategy for Future Research Activity |
初年度で得られた研究成果を基に,最終年度は以下のことに取り組む.まず,英語版Wikipediaにおける文献参照の初出時点データセットの分析を通じた,文献の公表年,参照追加のタイムラグの解明に関しては,執筆中の原著論文を完成させ,国際会議等にて発表を行う.次に,新たな研究課題として見いだされた,学術文献の識別子 (デジタルオブジェクト識別子,DOI) 自体の正確性・安定性に関する分析に関しても,同様に成果発表を行う.これらの実現を通じて,Wikipediaの記事や分野単位で参照の追加・更新を要するケースの特定への応用や,本研究のデータセットを用いた多様な分析の実現による研究領域の発展,編集者コミュニティや教育団体による参照の拡充や改善に資する成果の獲得を目指す.
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Causes of Carryover |
COVID-19の蔓延により,国際会議がオンラインで開催されたため,海外渡航に伴う渡航費や宿泊費が生じなかったことに加えて,参加費が無料であったために,次年度使用額が生じた.この予算については,次年度の国際会議への参加時の支出に充てるとともに,当初の計画書に記載した研究資料費および研究成果公開用のサーバ購入費用などに充てる予定である.
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Remarks |
英文国際誌「Scientific Data」に投稿したデータ論文における,(1) 公開データセットおよび (2) プログラムのソースコードのURLを記載した.
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