2021 Fiscal Year Research-status Report
A Study of Redirected Hand Based on Afferent and Central Signals
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21K21307
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松本 啓吾 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 助教 (20909527)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | リダイレクション / 手技動作 / 求心性信号 / 中枢性信号 / バーチャルリアリティ / NIRS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,実空間とバーチャル空間における手技動作の対応関係をユーザに悟られない範囲で操作することでバーチャル空間における手技動作を実際に行っていると思わせることを可能にするRedirected Hand (RH) 技術について求心性信号と中枢性信号の両面から検証することでRHの効果の向上を試みることである. 近年,医療手術や機器のメンテナンスなどの手技動作を伴うVRトレーニングが普及しつつある.こうした手技動作においては触力覚が重要な要素となるが,触力覚を提示するためには実環境においてもバーチャル環境と同等の物体や複雑な機構が必要となることが課題とされてきた.本研究では,こうした問題の解決につながることが期待されるRHに求心性信号と中枢性信号が与える影響について検証を行う.また,得られた知見をもとにRH効果の向上を図る. 本年度は,RHの実験環境を構築した上で,近赤外線分光法(Near-infrared spectroscopy, NIRS) を用いてRHを行なっている際の脳活動について計測し,RHが中枢神経系に与える影響について検証した.RHの操作量を変化させた際の前頭前野のヘモグロビン変化量を計測し,RHの閾値と脳活動の関係について検証したところ,RHの操作量を増加させるにつれて前頭前野の脳活動が増加する傾向が見られた.このことからRHが中枢神経系に影響を与えていることが従来の心理物理学実験に加えて神経科学的アプローチでも示すことが可能であることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,当初予定していなかったNIRSを用いる機会に恵まれたため,NIRSを用いてRH中の前頭前野の機能計測を行った.予備的解析からはRH中の脳活動に変化がみられることが示唆されている.従来,RHが中枢神経系への影響を与えていることは心理物理学実験を用いて検証されてきたが,今回は神経科学的アプローチから同現象に迫ることができたため,研究の進捗状況についてはおおむね順調に進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,RHが中枢神経系に与える影響についてより詳細に検証するとともに,末梢感覚器からの求心性信号がRHの効果に与える影響について検討を行う.具体的には,腕へ微弱な電気刺激を印加することにより体性感覚の信頼性を操作した際のRHの効果について検証を行うことを検討している.
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Research Products
(5 results)