2021 Fiscal Year Research-status Report
Effectiveness of listening to music on hypersensitivity of autism spectrum disorder - Development of audio equipment and clinical research -
Project/Area Number |
21K21321
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
山里 亜未 東海大学, 医学部, 奨励研究員 (00913237)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 感覚過敏 / 受動的音楽療法 / 精神症状 / フェイススケール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder: 以下ASD)症例の感覚過敏(主に聴覚過敏)と精神症状、それに伴う問題行動に対する受動的音楽療法の効果を明らかにすることである。本研究は、精神症状の評価と音楽再生のための音響機器の開発、ASD症例を対象とした臨床研究の二段階で構成している。 当該年度では、まず精神症状を評価するためのスケール(フェイス、数字、言葉)を作成した。フェイススケールは痛みの評価尺度であるFace Rating Scale(以下FRS)を参考に、イラストレーターらと共にイライラの程度を示す表情を新たにデザインした。フェイススケールはFRSの開発手順を参考に、表情の順序の妥当性、間隔の妥当性を評価するプレテストを行っている。また、イライラを評価するために最も妥当なスケールを採用するため、表情以外に数字、言葉の3種類のスケールを、評価数は4~6タイプのスケールを用意した。プレテストにて実際にASD症例にスケールを提示し、最も精神症状を評価しやすいものを選択してもらう。 即時的な精神症状(イライラ)の評価と音楽の再生を同時に行うための音響機器は、実際に被験者が日常的に使用することを想定し、より防水や耐衝撃性に優れているスマートフォンを使用することとした。作成したスケールを搭載し、より簡易で実用的なWEBアプリを開発した。 フェイススケールの妥当性、精神症状の評価に最も適したスケールの判定、アプリの動作確認・問題点の確認のため、ASD症例を対象としたプレテストを開始した。プレテストが終了次第、スケールとアプリの改良を行うことで、ASD症例の感覚過敏とそれに関連する精神症状に対する受動的音楽療法の効果を調査することが可能となると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、精神症状を評価するスケール機能付き音響機器(アプリ)の開発と、ASD症例の感覚過敏(精神症状、問題行動)に対する音楽聴取の効果を検討する臨床研究の二段階で構成しており、1年目にアプリの開発、2年目に臨床研究を予定していた。現在、精神症状のスケールとアプリに関してはほぼ完成し、プレテストを行っている段階であり、プレテストが終了次第臨床研究に移行する予定である。臨床研究は約半年間のスケジュールで組んでいるため次年度中に研究終了予定であり、研究はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
現在施行中であるプレテストが終了次第、精神症状を評価するスケールとアプリの修正を行い、臨床研究を開始する。対象は、ASDと診断されている6歳から15歳までの患者(IQ50以上)計60名である。患者と保護者に対し、本研究の目的等を十分に説明し、同意が得られた場合に研究を行う。同意取得後、被験者の感覚過敏と問題行動の評価の為、外来にて保護者にSP感覚プロファイルと異常行動チェックリスト日本語版 (ABC-J) を施行する。また、被験者の好きな音楽かつ落ち着ける音楽を調査し、アプリに記録する。その後4週間、日常生活の中でイライラの評価と音楽聴取を行ってもらう。4週間後、再度外来にて保護者にSP感覚プロファイルとABC-Jを施行し、介入期間前後で比較する。
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Causes of Carryover |
当該年度で準備する予定であった、臨床研究で使用する予定の音響機器(スマートフォン)やヘッドホンなどを、実際に臨床研究を行う次年度に購入するよう変更したため。また、当該年度中に終了予定であったプレテストが終了しておらず、被験者への謝金の支払いが次年度に繰り越されたため。次年度使用額は、当初の予定通り臨床研究で使用する物品の購入、被験者への謝礼として使用する予定である。
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