2021 Fiscal Year Research-status Report
遅延フィードバック制御による次世代給電システムの外乱に対する頑健性の向上
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21K21324
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Research Institution | National Institute of Technology, Toyama College |
Principal Investigator |
吉田 晃基 富山高等専門学校, その他部局等, 特命准教授 (30910442)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 直流給電 / ネットワーク / 遅延フィードバック / 非線形 / 引き込み領域 |
Outline of Annual Research Achievements |
複数の小規模な発電設備から直流電力を高い効率で負荷に配電する「直流マイクログリッド」が次世代の給電システムとして注目されている.また,負荷の追加や削除などの外乱に対する直流マイクログリッドの頑健性を,非線形科学の分野で用いられる「分岐解析」とカオス制御の分野で考案された制御手法を用いて向上させる試みがされている.しかし,これまでの手法は,数個程度の電源や負荷で構成される小規模なシステムにしか適用できず,今後の社会における給電網の大規模化には対応できないという問題があった. そこで,解析対象の大規模給電システムを小規模システムへ近似的に帰着させる工夫を提案した.工夫として具体的には,(1) ネットワークシステム全体を一つの「直流給電システムの基本回路」として扱う方法,(2) 「外乱を受けた基本回路」と「それ以外の基本回路」の2つからなる小規模ネットワークシステムとして扱う方法,の2つが挙げられる.これらの方法により,簡単なシミュレーションによって,直流マイクログリッドの外乱に対する頑健性が評価できることを確認している.調査対象のシステムの規模が小さくなったことで,上記で述べたこれまでの手法が適用できる.今後は,マイクログリッドの頑健性を高めるための各種パラメータの設計方法を調査する予定である. また本研究では,提案手法の有効性を回路実験でも確認する予定である.そこで,直流マイクログリッドを模した実験回路システムの設計を行った.代表者は過去に同様の実験システムを製作した経験があるが,その時の実験システムは回路の物理的なサイズが大きく,そのままの大きさで当研究が扱うネットワークシステムへと拡張することは難しかった.そこで,回路基板の配線パターン等を見直すことで,回路のサイズの縮小を図った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
回路実験システムの製作が当初より遅れているため,区分をやや遅れているとした.主な理由としては昨今の半導体不足の影響により,回路実験システムに必要なPCや回路部品等の物品の納入が遅れていたことが挙げられる.また,当初使用することを予定していた回路部品が廃盤となっていたことも挙げられる.前者の納入の遅れについては,令和3年度の末には注文していた物品がすべて届いたため,現在,製作に取り組んでいる.今後も研究の推進に必要な機器等はできるだけ早期に発注するように努める.また,後者の廃盤となった部品については,代わりとなる物を選定し,その動作確認も済ませているため,現在大きな問題はない.
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Strategy for Future Research Activity |
当面は回路実験システムの完成と検証実験の実施を優先する.当初は「直流給電システムの基本回路」10個以上からなるネットワークシステムを予定していたが,少し回路規模を小さくして,8個の基本回路からなるネットワークシステムを構築する.これは,回路製作にかける時間を短縮し,実験実施の時間を確保するためである.また,回路数を多くすると,その分オシロスコープを追加購入する必要があり,そこにかかる予算と他の予算とのバランスを考えた結果このような変更を予定している.8つの基本回路であっても,星型,環状,格子状などの典型的なネットワーク形状は作成が可能なため,検証実験を実施するうえで問題にはならないと考えられる. また,並行して大規模シミュレーション用の計算機を導入し,シミュレーションによっても,提案手法の有効性をより詳細に検証する.
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Causes of Carryover |
当初は令和3年度中に大規模シミュレーション用の計算機を導入する予定であったが,昨今の半導体不足の影響により,コンピュータ類の納期が長引く傾向にあった.導入予定の計算機も年度内に調達できる見通しがつかなかったため,次年度使用額とすることとした.
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