2021 Fiscal Year Research-status Report
もみ殻炭はLiイオン電池負極の活物質として有望か?
Project/Area Number |
21K21330
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
安部 勇輔 秋田大学, 電動化システム共同研究センター, 特任助教 (60908953)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | Liイオン電池 / もみ殻 / 炭化物 / 酸化ケイ素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,もみ殻を炭化処理することで得られる非晶質Cと酸化ケイ素(SiOx)の複合物をLiイオン電池負極活物質として応用することを目的としている。本年度は,複数の材料加工条件からもみ殻炭を製造し,それらの諸物性を明らかにした。また,もみ殻炭を用いるLiイオン電池セルを試作してその充放電特性を評価した。 まず,もみ殻を窒素雰囲気で炭化処理することで,もみ殻の形状を保ちつつ,その炭化物を生成した。もみ殻炭はボールミルにより粉砕し,平均10ミクロンの粉体に加工した。この粉体をLiイオン電池負極活物質として用いた。もみ殻炭には質量比でおよそ45%のSiOxが含まれていた。窒素雰囲気での加熱処理に加え,水酸化ナトリウム水溶液による浸漬処理を施すことで,もみ殻炭からSiOxを除去した。その浸漬過程において,溶液温度を高めて,浸漬時間を長くするほど,もみ殻炭からSiOxが除去されることが判った。また,もみ殻炭からSiOxが除去されると,その比表面積と細孔容積が増大し,もみ殻炭中に微細な構造が発達したことが示唆された。 もみ殻炭を用いてLiイオン電池用負極を製造し,その負極とLi金属から構成されるLiプレドープ用セルを組立てた。Liプレドープ用セルの電圧を0V(Li金属基準電位)まで下げ,もみ殻炭負極に十分なLiを供給した。そのもみ殻炭負極は,Li含有遷移金属酸化物正極を対極に用いるLiイオン電池セルに組み換え,定電流で充放電させた。SiOxを多量に含むもみ殻炭を負極に用いると,大電流による充放電でも高い充放電比容量を示した。SiOxが除かれたもみ殻炭負極を用いるLiイオン電池は,充放電を繰り返しても容量の劣化を抑制できた。しかし,繰り返し充放電する中で不安定な充放電挙動が確認された。 以上のことから,もみ殻炭はSiOxを除去せずとも,Liイオン電池負極活物質として応用できることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は2年に渡り実施される。その研究期間において,下記1から4の項目を実施して目的を達成する予定である。 1.もみ殻炭を複数の材料加工条件によって製造し,製造したもみ殻炭の諸物性を明らかにする。 2.もみ殻炭を用いて負極を製造し,その負極を組み込んだLiイオン電池セルを試作して充放電特性を評価する。Liイオン電池が安定して充放電するように,事前にもみ殻炭負極にLiプレドープ処理を施す。 3.充放電特性の評価結果を分析し,もみ殻炭の物性がLiイオン電池の充放電特性に及ぼす影響を明らかにする。 4.Liイオン電池の組立て前にもみ殻炭負極に施すLiプレドープ処理を条件化し,Liイオン電池の充放電特性への影響を評価する 本年度は項目1から3まで実施することができた。もみ殻炭を複数製造し、そのもみ殻炭を用いた負極を製造した。もみ殻炭負極には事前にLiプレドープ処理を施し、その負極を組み込んだLiイオン電池の充放電特性を評価した。物性の異なるもみ殻炭がLiイオン電池の充放電特性に及ぼす影響を明らかにした。もみ殻炭の製造、Liイオン電池の試作、その充放電特性の評価まで実施済みである。当初の計画通り,本研究は順調に進行している。よって、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
Liイオン電池用途として,優れた充放電特性が得られるもみ殻炭を製造できるように継続して研究を進める。複数の材料加工条件からもみ殻炭を製造して,その物性がLiイオン電池の充放電特性に及ぼす影響を本年度では明らかにした。研究の最終年度にあたる次年度では、これまでに得られたLiイオン電池の充放電特性の評価結果をさらに分析し,Liイオン電池の組立て前にもみ殻炭負極に施すLiプレドープ処理についてその条件を検討する。 研究初年度は,もみ殻炭負極に対して実施したLiプレドープ処理の条件は1つであった。事前にもみ殻炭負極を組み込んだLiプレドープ用セルに一定の電流を流し、セルの電圧を0V(Li金属基準電位)まで低下させることでもみ殻炭負極にLiを供給した。このLiプレドープ処理により,Liイオン電池が最初に充電した際のLiイオンの損失が低減され、Liイオン電池は安定した充放電が可能であった。今後は,Liプレドープ処理に注目し,供給するLiイオンの量(Liプレドープに相当する電気容量)について条件化し,Liイオン電池の充放電特性にどのような影響を及ぼすのか明らかにする。
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Causes of Carryover |
本年度は,実験に必要な物品や消耗品の購入,また学会参加費で予算を執行した。しかし,参加した学会がオンライン開催となった為,旅費が発生しなかった。また,実験では実験協力者を雇わずとも,研究がスムーズに進んだ為,人件費と謝金は発生しなかった。 次年度は研究発表の学会がオンライン開催となることが予想される。そのため,旅費の予算を他の費目で使用する必要がある。本年度の実験により,実験器具類がだいぶ消耗してきた。よって,物品と消耗品の購入に予算を多めに振り分ける。リチウムイオン電池セルの評価に必要な試験セル(ステンレスセル,コインセル),サンプル保存容器,電極化材料,セル化材料など購入する。また,研究発表で論文掲載と学会発表を予定している為,論文掲載費および学会参加費に予算を使用する。また,研究発表の論文は英語で記述する為,英文校正費で予算の使用を予定している。
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Research Products
(3 results)