2021 Fiscal Year Annual Research Report
生息水深の環境が底生有孔虫の殻構造へ与える影響の定量的な解析
Project/Area Number |
21K21339
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
木下 峻一 独立行政法人国立科学博物館, 地学研究部, 支援研究員 (40910758)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | マイクロX線CT / 底生有孔虫 / 海洋酸性化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,海洋の代表的な石灰化生物のひとつである有孔虫について,生成する殻の形状(体積、密度など)と海洋の環境との関係を精密かつ定量的に解明し,今日予想される海洋の酸性化が,今後,石灰化生物へ与える影響予想を評することを目的として遂行された.本研究課題では,特に酸性度の影響を“定量化”するために,マイクロX線CTを利用し,異なる水深(環境)に産出した底生有孔虫標本のX線CT撮影・測定を行い,データを比較することで,pHなどの違いによる殻構造の変化を殻パラメータ(殻体積・殻密度など)で定量化する. 令和3年度は,まずCTの撮影手法と撮影条件の選定を行い,当初想定していた以上に高精細でノイズの少ないCT画像の取得手法を確立させることができた.これは,本研究のデータの精度を保障するだけでなく,今後の微化石をはじめとする微小標本のCT撮影の円滑化という点でも大きな成果である.この撮影手法を用いて,現在までに水深262m~2679mの21地点より得られた146個体の底生有孔虫標本の撮影が完了した.これらのCTデータについては,撮影後の処理および殻パラメータの測定も完了し,現在は環境条件との比較・解析作業を進めた. 今後は,解析作業を進め,殻密度の測定による海洋酸性評価基準の作成,殻密度から二酸化炭素濃度を推定する換算式の確立の2点をめざし,殻密度を活用した海洋酸性化のモニタリングシステムの構築などを試みる計画であったが,研究代表者が令和4年度より,日本学術振興会の特別研究員(PD)へ採用となったため,本年度での事業廃止申請を行った.
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