2022 Fiscal Year Research-status Report
複雑に絡み合う窒素循環を新規多重同位体標識培養実験で紐解く
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21K21341
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
小林 香苗 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(超先鋭研究開発プログラム), Young Research Fellow (20908264)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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Keywords | 硝化 / 脱窒 / 嫌気的アンモニウム酸化 / 窒素安定同位体比 / 酸素安定同位体比 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、貧酸素環境において同時多発的に進行しつつ代謝基質を競合する3つのプロセス(硝化・脱窒・アナモックス)の各反応速度を定量的に把握することを目的とする。 本年度(2022年度)は、これまで硝化・脱窒・アナモックスの3つのプロセスの共存が確認されている深海底堆積物を主な調査対象として研究を進めた。昨年度にサンプリングを実施し、分画した堆積物の間隙水について栄養塩濃度分析とアンモニウムの窒素安定同位体比、亜硝酸と硝酸の窒素および酸素安定同位体比の分析を行った。また、堆積物の全有機炭素と窒素安定同位体比の分析を行った。各層の微生物群集構造を把握するためにSSU rRNA遺伝子シーケンス解析を行った。分析した結果から、表層からの沈降有機物量の異なる複数の海域における、硝化・脱窒・アナモックスの鉛直分布の把握と、窒素化合物の濃度と安定同位体組成の情報に基づいた堆積物内での窒素動態解析に取り組むことができた。同位体標識培養実験に関しては、今年度海底堆積物を追加採取し、同位体標識培養実験を船上で実施する予定だったが、油価高騰と円安の影響により調査航海の日数が大幅に削減されたため、堆積物のサンプリングが中止となり実施できなかった。そのため、硝化・脱窒・アナモックスの共存するバイオフィルムを用意し、複数の同位体標識パターンで培養実験を行い、培養条件の検討を行った。経時的に同位体標識された窒素化合物の濃度および安定同位体比を測定し、各反応速度の算出を進めてきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、採取した堆積物の栄養塩分析や、安定同位体分析、微生物群集構造解析について計画通りに実施することができた。これまでの解析結果については、酸素と栄養塩濃度の変化に伴う微生物群集構造の変化、そして窒素化合物の濃度と安定同位体組成の情報に基づいた堆積物内での窒素動態について学会で発表し、議論することができた。予定されていた調査航海での堆積物サンプリングの中止により船上での同位体標識実験は実施できなかったが、計画を変更し、硝化・脱窒・アナモックスの共存するバイオフィルムを用いて、複数の同位体標識パターンで培養実験系を構築することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、窒素化合物の濃度と安定同位体組成の情報に基づき各微生物種による物質フラックスの評価を進めつつ、窒素循環に関連する代謝遺伝子の深度による分布の把握のためにショットガンメタゲノム解析を実施する。そして、まとめた研究成果を論文として投稿し、出版することを目指す。
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Causes of Carryover |
当初計上していた物品費と旅費と差額が生じたのは以下の2つの理由である。1つは、予定されていた調査航海での堆積物のサンプリングが中止になり、その旅費と消耗品などの物品費、そして解析費用が発生しなかったこと。2つ目に、新型コロナ蔓延対策のため、予定していた国際学会へ参加できなくなったことである。差額分については、ショットガンメタゲノム解析費用、最終年度に得られた成果論文の投稿費用、オープンアクセス費、国際学会参加費とその旅費に充てる計画である。
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Research Products
(1 results)