2022 Fiscal Year Research-status Report
Studies on the production and cell surface expression of short-chain glycosylated proteins by lysosomal exocytosis
Project/Area Number |
21K21346
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
藤田 盛久 岐阜大学, 糖鎖生命コア研究所, 教授 (30532056)
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Project Period (FY) |
2022-02-18 – 2025-03-31
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Keywords | N結合型糖鎖 / リソソーム / パウチマンノース / エキソサイトーシス / 糖加水分解酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、哺乳動物細胞において、マンノースが3残基以下からなるN結合型糖鎖(パウチマンノース糖鎖)がどのように形成され、細胞表面へ露出されるのかを明らかにすることを目的としている。まず、HEK293、THP1、HuH7細胞からパウチマンノースを有する糖ペプチドをグライコプロテオミクス解析で同定したところ、60%以上がリソソーム由来のタンパク質であった。HuH7細胞を用いて、リソソーム局在糖加水分解酵素であるHEXAやMAN2B1の遺伝子を欠損した細胞を作出した結果、これらの細胞では、リソソーム酵素上のパウチマンノース含有量が減少した。つぎに、パウチマンノースを認識する抗体であるMannitouを用いて、細胞表面のパウチマンノースを染色した。その結果、エンドサイトーシスの阻害剤、mTORの阻害剤、カルシウム・イオノフォアでMannitouによる細胞表面染色が増加した。一方で、リソソーム・エキソサイトーシスの阻害剤であるVacuolin-1ではMannitou染色が低下した。このことから、パウチマンノース糖鎖は、リソソームで形成され、カルシウム依存的なリソソーム・エキソサイトーシスを介して細胞表面に露出していることが示唆された。さらに、リソソームの代表的なタンパク質であるLAMP1の細胞表面発現が低下する変異細胞を遺伝学的スクリーニングにより濃縮し、その責任遺伝子候補を同定した。この候補遺伝子をHuH7でノックアウトすると、LAMP1の表面発現が半分程度に減少し、リソソーム酵素の培地中への分泌も低下したことから、リソソーム・エキソサイトーシスに部分的に欠損を生じていることが示唆された。ノックアウト細胞では、Mannitouによる細胞表面染色も低下した。現在、この遺伝子について解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生化学的解析により、パウチマンノース糖鎖がリソソームで形成され、リソソーム・エキソサイトーシスで細胞表面に露出することを明らかにすることができた。さらに、遺伝学的スクリーニングで、候補遺伝子を同定しており、そのノックアウトでリソソーム・エキソサイトーシスの欠損とパウチマンノース露出低下が見られたことから、引き続き解析を進めることで、リソソーム・エキソサイトーシスがどのように制御されているか明らかにできると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、候補遺伝子の解析を行い、リソソーム・エキソサイトーシスがどのような制御を受けているか、どのような機構で細胞膜と融合するのかを明らかにする。 関連遺伝子のノックアウト細胞も作製し、表現型を確かめる。 リソソームで糖加水分解を担う酵素遺伝子についてもノックアウト細胞を作製し、パウチマンノースの形成に影響を与えるのかを確認する。 パウチマンノース糖鎖を認識するレクチンNPAを用いて、パウチマンノース糖鎖を有するタンパク質の同定とその役割について、解析を行う。
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Causes of Carryover |
本助成金により、研究支援員の人件費支払いを行っており、3月分支払いの確定が年度末になったため、次年度使用額5099円が生じた。その分は、次年度の助成金分と合わせて、物品費および研究支援員人件費に使用予定である。
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