2021 Fiscal Year Research-status Report
Excavating traditional Cambodian foods and building a model to ensure their inheritance
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21KK0013
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊藤 香純 名古屋大学, 農学国際教育研究センター, 准教授 (10467334)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浜野 充 信州大学, 学術研究院農学系, 講師 (30626586)
野村 久子 九州大学, 農学研究院, 講師 (60597277)
服部 浩之 名古屋大学, アジアサテライトキャンパス学院(農), 特任助教 (60882579)
馬場 多聞 立命館大学, 文学部, 准教授 (70756501)
高橋 優希 名古屋大学, 農学国際教育研究センター, 客員研究員 (90855743)
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Project Period (FY) |
2021-10-07 – 2027-03-31
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Keywords | 伝統食品 / 市場調査 / 食文化 / 機能性成分 / 継承モデル / カンボジア |
Outline of Annual Research Achievements |
カンボジアでは、ポル・ポト政権下における大虐殺や焚書政策によって多くの歴史的資料が失われ、伝統食品についても名称・原材料・製造方法・成分などの記録が存在しない。近年では、市場における伝統食品の販売品目数に減少が見られ、現存する伝統食品が未記録のまま人知れず消滅してしまう危機に直面している。その要因として、ライフスタイルや食生活の変化、食の安全性への意識の高まりなどが考えられるが、伝統食品の記録が存在しないことが障壁となり、消滅の危機を脱する方策を見いだすための研究には至っていない。 本研究は、研究代表者を始めとする日本人研究者がカンボジア王立農業大学に出向き、同大学の研究チームと共同で5つの研究を実施することで、フィールド調査によりカンボジアの伝統食品を「発掘」し、その衰退の要因と機能性成分・効能を解明する。また、見いだされた伝統食品の消費活性化や新たな活路の開拓に向けた実践研究を行い、その効果や実用性について検証・評価することで、伝統食品の維持・継承モデルを構築することを目的としている。 2021年度は、2022年度に計画されている研究1)伝統食品の発掘、研究2)伝統食品の機能性成分および効能の解明について、事前準備を進めた。2022年度は、研究1)では探索的なフィールド調査を通じて、マーケットなどで販売されている食品を収集し、各食品について呼称・原材 料・食し方・食す機会・口承効能や、生産・販売・消費の実態と課題等に関する半構造化インタビューを実施する計画である。また研究2)では、伝統食品および原材料の成分分析を実施する計画である。2021年度は、これら2つの研究に共通して必要となる、現存する伝統食品のリストを作成するため、現地政府職員へのオンラインアンケートおよびインタビュー調査の実施と、各種情報収集を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウィルス感染症の蔓延に伴う研究対象地域のロックダウン、現地および国内共同研究者の同感染症への感染などにより、計画していた情報収集および予備調査に遅れが生じ、当初計画していた対面による市場調査の実施に至らなかった。このため、予備調査としてオンラインでのアンケート調査を通じたデータ採取などを実施することで、対面調査に向けた準備を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度中は、コロナウィルス感染症の蔓延に伴うロックダウンにより対面による市場調査が実施不可となった。2022年度は、2021年度の予備調査によって作成された現存する伝統食品のリストに基づいた対面での市場調査の実施を目指す。対面調査により、同リストを更新し、研究1)伝統食品の発掘と、2)伝統食品の機能性成分および効能の解明を中心とした研究活動を実施する。研究1)では、更新した伝統食品リストの各食品について、原材料、食し方、食す機械、文化的意味、交渉効能について半構造化インタビューを実施する。また研究2)では、伝統食品のリストに基づき、原材料の成分分析や主要成分の機能解明に向けたサンプル採取と実験を行う。 なお、日本人研究者による海外渡航が可能となった場合には、日本人研究者と現地研究者と合同にて現地調査を実施する。海外渡航が実現できなかった場合には、現地において調査補助員を雇用し、現地の共同研究者が主導する形にて現地調査を実施する。なお、日本人研究者の現地渡航が見込めない場合には、研究の進め方について全ての共同研究者(現地研究者を含む)を一堂に介して議論をし、研究方針を明確に定めることとする。
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Causes of Carryover |
コロナウィルス感染症の蔓延に伴う研究対象地域のロックダウン、現地および国内共同研究者の同感染症への感染などにより、現地渡航が実現できず、現地での物品購入および調査経費の執行に至らなかったため次年度使用額が生じた。当該助成金は、2022年度に計画されている現地渡航および現地調査にて執行する計画である。万一、2022年度中の現地渡航および調査が見込めない場合には、共同研究者との協議を経て、調査の実施方法と併せて当該助成金の使途について再検討する。具体的には、現地での調査を実施するための調査補助員経費や、成分分析の業者への委託経費としての執行を検討する。
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Research Products
(1 results)