2021 Fiscal Year Research-status Report
Educational Inclusion of Children with Disabilities in Sri Lanka: Developing a model that responds to the country's social context
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21KK0039
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
古田 弘子 熊本大学, 大学院教育学研究科, 教授 (60315273)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 沙絵 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (80751205)
川口 純 筑波大学, 人間系, 准教授 (90733329)
東田 全央 淑徳大学, アジア国際社会福祉研究所, 助教 (60892528)
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Project Period (FY) |
2021-10-07 – 2026-03-31
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Keywords | スリランカ / 障害 / 子ども / 教育 / 特別学校 / 教育的包摂 / インクルーシブ教育 / 特殊教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、中所得国スリランカにおける障害児の教育的包摂について、教育セクターだけでなく福祉セクターの果たす教育機能に着目しながら解明し、その固有の社会的文脈に即した障害児の教育的包摂のモデルを構築することを目的とする。本研究では、日本とスリランカという2国間にとどまらない多角的な検討を行うことで、スリランカの当該分野の研究の基盤形成のみならず、日本人研究者4人がその中心となる学際的障害児教育研究の国際学術研究の一拠点を形成する。 本年度は交付内定通知書を受け取ってから間をおくことなく、半年間の研究活動に着手した。具体的には、コロナ禍に配慮し渡航しての調査は控え、以下の活動を行った。(1)スリランカの特別学校という福祉施設に着目し、その実態解明のために3校の校長らの参加を得てオンラインによる国際シンポジウムを開催した。開催にあたっては本科研の研究協力者のP.Sethunga教授、Anoma Alwis教授、C.Liyanage教授、S. Dawson講師(以上スリランカ)、P.Lynch教授(イギリス)に、レクチャー、司会、通訳および校長らの発表補助、意見表明等を得て実施した。90人のシンポジウム参加者のうち3分の1を占めスリランカからの参加者からの質疑が多く今後に向けた手がかりを得ることができた。(2)本科研のホームページを開設した。本科研の開始および活動内容を国際的に周知するために、日英両言語で開設した。開設時には、本科研の目的、前述したシンポジウムの紹介、研究代表者・分担者およびスリランカ・インド・イギリスの研究協力者の紹介を行った。 以上の(1)および(2)については、本科研のほか2021(令和3)年度平和中島財団国際学術研究アジア地域重点学術研究助成(研究代表者 古田弘子)を受けて実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付内定通知書を10月に受け取ってから間をおくことなく研究活動に着手した。半年の間に具体的には以下の活動を中心に行った。 (1)オンラインによる国際シンポジウム「特別学校の子どもを取り残さないインクルーシブ教育の探求:南アジア2か国の検討から」を開催した。スリランカの特別学校3校の校長の他、研究協力者のP.Sethunga教授、Anoma Alwis教授、C.Liyanage教授、S. Dawson講師(以上スリランカ)、P.Lynch教授(イギリス)からレクチャー、司会、通訳、意見表明等の協力を得て実施した。約90人のシンポジウム参加者のうち3分の1を占めたスリランカからの参加者からのコメント・質疑を通して今後に向けた多くの手がかりを得ることができた。 (2)本科研ホームページを開設した。本科研の開始および活動内容を国際的に周知するために、日英両言語で開設した。開設時には、本科研の目的、前述したシンポジウムの紹介、研究代表者・分担者およびスリランカ・インド・イギリスの研究協力者の紹介を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度から4年間本格的な研究活動の時期に入る。本研究は、分析枠組みを政策、教育・福祉実践、当事者・家族の3段階に分けている。今後は、教育学の立場から川口純(筑波大学)が、福祉学の立場から東田全央(淑徳大学)が、人類学の立場から中村沙絵(東京大学)が研究調査を進め、研究代表者の古田弘子(熊本大学)がこれを統括する。その際、スリランカのペラデニヤ大学人文学部教育学科のP.セートゥンガ教授を中心に、公開大学、コロンボ大学、ジャフナ大学の研究者らに加えて、イギリス、グラスゴー大学、インド、ミランダハウスカレッジの研究者らとともに、スリランカ独自の包摂モデル構築に向けた国際共同研究を実施する。研究者同士の研究交流を促進するため、定例でオンライン研究会を行っていく。 具体的には、R4年度には、教育政策文書、福祉政策文書、中央政府・州社会事業局の施策の分析を行う。加えて、①公立校・特別学校・教員養成校、 ②私立・インターナショナル校、民間新規職員養成校、療育施設、③北部復興地域における公立・私立校、障害児施設、④茶園地域の教育・福祉、⑤シンハラ農村における調査に着手する。 現在スリランカでは経常赤字の拡大とインフレの加速が急速に進み、深刻な経済危機に直面している。このことが本科研の対象とする障害のある子どもとその家族にも大きな影響を与えることは間違いないだろう。社会基盤の揺れを見極めながら、研究計画時に前提としていた事柄を必要があれば見直す必要があるだろう。コロナ禍への配慮とあわせて、現地渡航にあたっては万全の準備をして臨むこととする。 最後に研究成果は、国際会議共同発表や国際学術雑誌への投稿により国際発信を行っていく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍を考慮しスリランカでの実地調査および国内打ち合わせを見合わせたため。
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Research Products
(15 results)