2021 Fiscal Year Research-status Report
Quantitative analysis for nonlinear evolution equations of diffusion type
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21KK0044
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
赤木 剛朗 東北大学, 理学研究科, 教授 (60360202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 健一 金沢大学, 数物科学系, 准教授 (40293120)
松澤 寛 神奈川大学, 理学部, 准教授 (80413780)
村川 秀樹 龍谷大学, 先端理工学部, 准教授 (40432116)
兼子 裕大 日本女子大学, 理学部, 助教 (40773916)
佐藤 龍一 福岡大学, 理学部, 助教 (20802599)
Cavallina Lorenzo 東北大学, 理学研究科, 助教 (40881264)
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Project Period (FY) |
2021-10-07 – 2027-03-31
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Keywords | 非線形拡散方程式 / 漸近挙動 / 定量的解析 / 発展方程式 / 関数解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は拡散型発展方程式の解の漸近挙動に関する定量解析の取り組みに向けて、以下の3点について取り組んだ。 (1) 強い不可逆性が仮定された 1 次元 Allen-Cahn 方程式に対する進行波解への指数収束性 破壊現象のモデルなどでは時間に関して完全に不可逆になる(すなわち破壊の程度が時間とともに増大する)ことが必要な要件となる。ここではそのような不可逆性が課された Allen-Cahn 方程式に対して進行波解の指数安定性に関する研究を(別課題から引き継ぐ形で)完成させた。この結果は 2022 年に論文として発表された。 (2) 非線形拡散方程式の解の漸近形に対する収束レートの解明 ここでは Fast Diffusion 方程式に対する Cauchy-Dirichlet 問題を考え、その漸近形が非退化になる場合に対して最適な収束レートを模索した。結果、いくつかの有用な方法が開発された。ここで開発した方法は Bonforte-Figalli (2021) の方法とは異なるアプローチであり、より広範な問題への適用が期待される。現在、結果として取りまとめ中である。 (3) 分数冪ラプラス作用素を伴う非線形拡散方程式の適切性とその解の漸近挙動の定性的解析 分数冪ラプラシアンは Levy flight のようなジャンプ過程に由来する異常拡散を記述する上で用いられる拡散型作用素だが、近年、非線形拡散と融合させたモデルが注目を集めている。ここでは指導学生の Florian Salin 氏と共同で同方程式の基本的な性質を解明し、解の漸近挙動の定量解析に向けた準備を進めた。ここでは別課題で確率した分数冪ラプラシアンに対する関数解析的枠組みを用いることで、発展方程式の解のダイナミクスを特に(一般化)勾配流構造に着目する形で解析する。一方、分数冪ラプラシアンの非局所性に由来する困難が生じる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題採択からの期間がまだ短いが、期間中に予定されていた非線形拡散方程式の解の漸近形に対する収束レートの定量解析はその解析の糸口が明かになっており、今後それに基づいた考察を進める準備が整っている。また分数冪ラプラシアンを伴う非線形拡散方程式に関しても理論的基盤の整備が整いつつある。以上の観点から研究計画の遂行は概ね順調に進展していると考える。新型コロナのため海外研究者の訪問や招聘は 2021 年度中に行えなかったが、必要な準備は進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
非線形拡散方程式の解の漸近形に対する収束レートの定量解析はこれまでに開発した手法をベースに改良を重ねる。特に Bonforte-Figalli の手法ではカバーできていないケースへの取り組みを行い、本研究計画で提案する手法の優位性を模索する。一方、Bonfote-Figalli の研究は多くの関連研究を生み出す重要な結果であり、派生研究を吟味した上で提案手法のさらなる応用可能性についても検討を進める。また分数冪ラプラシアンを伴う非線形拡散は、非局所作用素の存在から準線形放物型方程式の古典論が適用できず、特に近似解の構成やそれを用いたエネルギー等式など方程式の変分構造を引き出すステップに於いて困難を生じる。この点は離散化法を持ち込み、古典的な問題に対しては別証明、非局所な問題に対しては新しい証明としてエネルギー解の構成を行う。また海外出張や研究者招聘に関しては、新型コロナに関する入国制限などが緩和されてきたため、海外の研究協力者とも連絡をとり、可能なケースから順に訪問や招聘を実施する。同様に研究分担者とも相談し、実施可能なものに関しては渡航できるようアレンジする。新型コロナの問題は完全には解決しないため、しばらくはできるものから順に実施していくという対処療法が基本指針となる。
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Causes of Carryover |
海外研究者の訪問が新型コロナにより実現できなかったため、関連する準備に必要な予算を次年度に先送りした。2022年度の実施を予定している。
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Research Products
(23 results)