2021 Fiscal Year Research-status Report
US-Japan sounding rocket project to establish new strategy for the study of magnetic reconnection and particle acceleration with solar flare observations in X-rays
Project/Area Number |
21KK0052
|
Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
成影 典之 国立天文台, 太陽観測科学プロジェクト, 助教 (50435806)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三石 郁之 名古屋大学, 理学研究科, 講師 (90725863)
萩野 浩一 東京理科大学, 理工学部物理学科, 助教 (70762061)
|
Project Period (FY) |
2021-10-07 – 2025-03-31
|
Keywords | 日米共同・太陽X線観測ロケット実験FOXSI-4 / 磁気再結合 / プラズマ加熱 / 粒子加速 / 太陽フレア / X線集光撮像分光観測 / X線用・高速度カメラ / 電気鋳造X線ミラー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、世界初となる「太陽フレアに対するX線集光撮像分光観測」(観測ロケット実験 FOXSI-4)を日米共同で実施することで、磁気再結合が引き起こす磁気エネルギーの解放とそれによって生じるエネルギー変換機構(特に、粒子加速)を追究するための新しい基盤を構築することである。 2021年度は、観測ロケット実験 FOXSI-4 の実施に向け、「軟X線用・高速度CMOSカメラ」、「硬X線用・高速度CdTeカメラ」、「電気鋳造X線ミラー」といった日本が担当するキー技術の開発を開始した。これらの開発においては、「観測装置主構造」、「データ収集システム」、「観測ロケットシステム」を担当する米国との綿密なインターフェイス調整や、データ取得方法(観測モード)の協議が必要であり、渡米しての打ち合わせを複数回予定していた。しかし新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、これらは実施できなかった。そこで代わりに「日米メンバーが参加する定例会合」、「management に特化した定例会合」、「hardware 開発に特化した定例会合」を、それぞれ隔週にてリモート開催することで、綿密なインターフェイス調整を行うとともに、円滑なコミュニケーションを確保した。これらを経て、開発は予定通り進めることが出来た。 また、サイエンスについても「日米メンバーが参加する定例会合」の場を用いて、観測ロケット実験 FOXSI-3(2018年打ち上げ)のデータ解析の状況や、FOXSI-4 で目指すサイエンスについて、お互いに進捗状況を確認するとともに、議論を行った。 FOXSI-4 の計画推進、装置開発および科学成果については、学会や論文にて発表を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は、観測ロケット実験 FOXSI-4 の実施に向け、日本が担当するキー技術の開発を計画通り開始した。これらの開発においては、米国との綿密なインターフェイス調整や、データ取得方法(観測モード)の協議が必要であり、渡米しての打ち合わせを複数回予定していた。しかし新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、これらは実施できなかった。そこで代わりに「日米メンバーが参加する定例会合」、「management に特化した定例会合」、「hardware 開発に特化した定例会合」を、それぞれ隔週にてリモート開催することで、綿密なインターフェイス調整を行うとともに、円滑なコミュニケーションを確保した。これらを経て、開発は予定通り進めることが出来た。 また、サイエンスについても「日米メンバーが参加する定例会合」の場を用いて、観測ロケット実験 FOXSI-3(2018年打ち上げ)のデータ解析の状況や、FOXSI-4 で目指すサイエンスについて、お互いに進捗状況を確認するとともに、議論を行った。 以上を踏まえ、計画は、おおむね順調に進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
観測ロケット実験 FOXSI-4 の打ち上げは、2024年春の予定である。これに向け下記の推進方策をとる。 2022年度は、観測装置のフライト品を完成させ、2023年3月に米国に出荷することが目標となる。そのため、2022年9月頃までに試作品を完成させ、米国にてフィットチェックを実施する。 2023年度は、打ち上げに向けて米国での作業が本格化する。日本チームも現地での観測装置組立作業および評価試験に参加する。 2023年度末から2024年度初めに予定されている FOXSI-4 の打ち上げキャンペーンは射場(米国・アラスカ州)で参加し、打ち上げ準備→打ち上げ→太陽フレア観測→装置回収→データ確認までを行う。 打ち上げ後(2024年度)は、取得した観測データを中心に、数値計算も交えて、科学成果の創出にあたる。また、取得したデータの公開の準備も行い、X線集光撮像分光観測という新しい種類の太陽フレア観測データを研究者コミュニティーに普及させ、衛星計画といった、より大きな計画推進のための基盤を構築する。 なお、2022年度からは4名の大学院生と1名の学部学生が新たに FOXSI-4 計画に加わることになっており、合わせて7名の学生が計画に参加する。観測ロケット実験は、若手研究者や大学院生が直接宇宙ミッションに携わることができる大変貴重な機会であり、この点を活かし人材育成にも努める。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、計画していた米国への渡航が行えなかった。これにより次年度使用額が生じた。 2022年度は、当初計画通り、渡米してのフィットチェックや打ち合わせ、観測装置の輸送などを行う計画である。ただ、COVID-19 の影響により、航空運賃の上昇や、出国・帰国に際しての検査など、当初想定よりも費用がかかる見込みである。次年度使用額については、これらの補填に充てる。
|
Research Products
(18 results)
-
-
[Presentation] 磁気リコネクションに伴う粒子加速の理解を目指す衛星計画:PhoENiX2022
Author(s)
成影 典之, 岡 光夫, 深沢 泰司, 松崎 恵一, 渡辺 伸, 坂尾 太郎, 萩野 浩一, 三石 郁之, 水野 恒史, 篠原 育, 下条 圭美, 高棹 真介, 金子 岳史, 銭谷 誠司, 川手 朋子, 田辺 博士, 上野 宗孝, 高橋 忠幸, 高島 健, 太田 方之, 他PhoENiX WGメンバー
Organizer
第22回 宇宙科学シンポジウム
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] CMOSイメージセンサを用いた硬X線撮像偏光計の開発 V2022
Author(s)
小高 裕和, 渡邊 泰平, 丹波 翼, 岩田 季也, 市橋 正裕, 谷本 敦, 高嶋 聡, 春日 知明, 南木 宙斗, 馬場 彩, 神谷 好郎, 長澤 俊作, 南 喬博, 高橋 忠幸, 渡辺 伸, 成影 典之
Organizer
日本天文学会2022年春季年会
-
[Presentation] 太陽観測ロケット実験FOXSI-4に向けたワイドギャップCdTeストリップ検出器の開発と性能評価II2022
Author(s)
長澤 俊作, 南 喬博, 高橋 忠幸, 渡辺 伸, 市橋 正裕, 岩田 季也, 小高 裕和, 高嶋 聡, 谷本 敦, 丹波 翼, 渡邊 泰平, 神谷 好郎, 成影 典之
Organizer
日本天文学会2022年春季年会
-
[Presentation] 日米共同・太陽フレアX線集光撮像分光観測ロケット実験FOXSI-42022
Author(s)
成影 典之, 渡辺 伸, 坂尾 太郎, 高橋 忠幸, 長澤 俊作, 南 喬博, 三石 郁之, 瀧川 歩, 作田 皓基, 安福 千貴, 川手 朋子, 石川 真之介, Lindsay Glesener, FOXSI-4 チーム
Organizer
日本天文学会2022年春季年会
-
[Presentation] 磁気リコネクションに伴う粒子加速の理解を目指す衛星計画 PhoENiX2022
Author(s)
成影 典之, 岡 光夫, 深沢 泰司, 松崎 恵一, 渡辺 伸, 坂尾 太郎, 萩野 浩一, 三石 郁之, 水野 恒史, 篠原 育, 川手 朋子, 下条 圭美, 高棹 真介, 金子 岳史, 銭谷 誠司, 田辺 博士, 上野 宗孝, 高橋 忠幸, 高島 健, 太田 方之, 他PhoENiX WGメンバー
Organizer
第21回高宇連研究会+博士論文発表会:「今後の高宇連宇宙科学ミッション推進へ向けて」
Invited
-
-
[Presentation] Satellite mission: PhoENiX (Physics of Energetic and Non-thermal plasmas in the X (= magnetic reconnection) region)2021
Author(s)
Noriyuki Narukage, Mitsuo Oka, Yasushi Fukazawa, Keiichi Matsuzaki, Shin Watanabe, Taro Sakao, Kouichi Hagino, Ikuyuki Mitsuishi, Tsunefumi Mizuno, Iku Shinohara, Masumi Shimojo, Shinsuke Takasao, Tomoko Kawate, Takafumi Kaneko, Hiroshi Tanabe, Munetaka Ueno, Tadayuki Takahashi, Takeshi Takashima, Masayuki Ohta
Organizer
Particle Acceleration in Solar Flares and the Plasma Universe -- Deciphering its features under magnetic reconnection
Int'l Joint Research / Invited
-
[Presentation] The FOXSI-4 Sounding Rocket: High Resolution Focused X-ray Observations of the Sun2021
Author(s)
L. Glesener, J. C. Buitrago-Casas, J. T. Vievering, A. Pantazides, S. Musset, P. S. Athiray, W. Baumgartner, S. Bongiorno, P. R. Champey, S. Christe, S. Courtade, J. M. Duncan, S. Ishikawa, S. Krucker, J. C. Martinez Oliveros, S. Perez-Piel, I. Mitsuishi, N. Narukage, D. Ryan, T. Takahashi, S. Watanabe
Organizer
AGU Fall Meeting 2021
Int'l Joint Research
-
[Presentation] Hard X-ray upper limits of the quiet Sun with new FOXSI observations2021
Author(s)
J. C. Buitrago-Casas, L. Glesener, S. Christe, S. Krucker, J. T. Vievering, P. S. Athiray, S. Musset, L. Davis, S. Courtade, G. Dalto, P. Turi, Z. Turi, B. Ramsey, S. Bongiorno, D. Rya, T. Takahashi, K. Furukawa, S. Watanabe, N. Narukage, S. Ishikawa, I. Mitsuishi, K. Hagino
Organizer
AGU Fall Meeting 2021
Int'l Joint Research
-
-