2021 Fiscal Year Research-status Report
Evolution of the protosolar disk deduced from a combined isotope study of chondrules
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21KK0057
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
飯塚 毅 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (70614569)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日比谷 由紀 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (30867536)
山口 亮 国立極地研究所, 研究教育系, 准教授 (70321560)
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Project Period (FY) |
2021-10-07 – 2025-03-31
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Keywords | 原始太陽系円盤 / 同位体不均質 / コンドリュール / 消滅核種 / 惑星 |
Outline of Annual Research Achievements |
太陽系の多様な惑星の母体となった原始太陽系円盤の進化を,始原的隕石コンドライト中のコンドリュールから探る.コンドリュールは円盤内の瞬間的加熱過程の生成物で,その集積は惑星形成を駆動したと考えられる.よって,コンドリュールがいつ,円盤内のどこで形成され,どのように移動したかを解明することは,惑星の起源の理解に繋がる.本研究では,様々なタイプのコンドライト中のコンドリュールに対して,Al-Mg・O・Ti・Cr同位体分析を実施する.これらの結果を複合的に解析することにより,個々のコンドリュールについて(i) Al-26の均質分布を仮定することなくAl-Mg年代を決定し,(ii)その形成場・環境と移動過程を明らかにし,原始太陽系円盤の進化に迫る. 2021年度には,炭素質コンドライトのCVグループ隕石Allendeについて,粗粒な(~1.5 mm径)コンドリュールの岩石学的記載,主要元素分析,O-Ti-Cr同位体分析を実施した.その結果,一部のコンドリュールのTi-O同位体組成は,炭素質コンドライトの全岩とは異なり,普通コンドライトの全岩と類似していることが明らかになった.この結果は,普通コンドライト母天体が集積した原始太陽系円盤内側で太陽系最初期に凝縮した固体物質が,炭素質コンドライト母天体の集積した円盤外側まで運ばれたことを示唆する.また,より細粒なコンドリュール について高精度Ti同位体分析を可能とすべく,多重検出器誘導結合プラズマ質量分析法の高感度化を進めた.これにより,従来の約5倍の感度を達成し,高精度分析に必要な試料サイズの低減に成功した.この高感度Ti同位体分析法は,ハヤブサ2によって持ち帰られたリュウグウ試料の分析にも応用された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
四年間にわたる本プロジェクトの前半は炭素質コンドライトを,後半は普通・エンスタタイトコンドライトを対象とし,さらに前半・後半それぞれ,粗粒なコンドリュールを含む隕石試料から分析を順次進めていくことを計画していた.プロジェクト初年度にあたる2021年度には,計画通りに粗粒なコンドリュール を含むCVグループ隕石の分析を実施することができた.さらに,今後より細粒なコンドリュール を測定するための分析手法の高感度化も達成できた.一方,当初は,研究代表者らがウィスコンシン大学を訪問し,Al-Mg・O同位体分析に参画する予定であったが,コロナ蔓延の影響により,訪問することができず,海外共同研究者に分析を依頼する形になったのは,想定外のことであった.
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度には,これまでにウィスコンシン大の共同研究者が鉱物学的記載,主要元素分析,Al-Mg・O同位体分析を実施してきたCOグループ隕石Dominion Range 08006およびYamato 81020とCMグループ隕石Asuka 12236のTi・Cr同位体分析を進めていく.さらに,炭素質コンドライトのCKグループおよびCRグループ隕石のAl-Mg・O同位体分析を,研究代表者・分担者がウィスコンシン大学において新たに実施し,これらの分析が順調に進めば,2022年度後半にこれらの試料のTi・Cr同位体分析も実施する.これまでに得られた結果に基づいて,太陽系外側で惑星形成を駆動したと考えられるコンドリュール の形成・移動過程を議論し,国際学術雑誌に論文を投稿する.さらに,2023年度以降に同位体分析を進める予定の,普通およびエンスタイトコンドライトの入手を進め,岩石学的記載に基づいて,二次的な変成・変質・風化の影響の少ないコンドリュール の同定を進めて行く.
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Causes of Carryover |
当初の計画では,研究代表者および分担者が,海外共同研究者のウィスコンシン大学木多博士の二次イオン質量分析ラボを訪問し,コンドリュール 試料のAl-Mg年代分析およびO同位体分析を実施する予定であった.しかし,コロナ蔓延の影響を受け,ラボを訪問することができなかったため,海外渡航旅費に計上していた額を次年度に使用することとなった.この使用計画としては, 2022年度のウィスコンシン大学訪問期間を,当初予定していた2週間から1ヶ月程度に延長すること,また,この海外滞在期間延長に伴って必要となる,国内における研究協力員の雇用費にあてることを予定している.
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Mineralogy of fine-grained matrix, fine-grained rim, chondrule rim, and altered mesostasis of a chondrule in Asuka 12169, one of the least altered CM chondrites2021
Author(s)
Noguchi T., Yasutake M., Tsuchiyama A., Miyake A., Kimura M., Yamaguchi A., Imae N., Uesugi K., Takeouchi A.
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Journal Title
Polar Science
Volume: 29
Pages: 100727
DOI
Peer Reviewed
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