2021 Fiscal Year Research-status Report
疲労負荷下CFRPにおけるエントロピー損傷に基づく余寿命・残存強度予測法の構築
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21KK0063
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
小柳 潤 東京理科大学, 先進工学部マテリアル創成工学科, 教授 (60386604)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 諒 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任准教授 (00815946)
佐藤 光桜 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 航空技術部門, 研究開発員 (90914664)
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Project Period (FY) |
2021-10-07 – 2024-03-31
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Keywords | CFRP / 繰り返し負荷 / エントロピー / 強度低下 / 有限要素解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
CFRPの繰り返し負荷において、目に見えない損傷・劣化が蓄積して材料の強度が低下していく有限要素モデルを開発した。エントロピー生成の関数として劣化を促進させるモデルであり、世界初の疲労劣化モデルである。 従来から存在する複合材料の破断モデルであるHashin則を基本として、材料の構成則に粘弾性を取り入れ、粘弾性による散逸エネルギーを温度で除すことで定義されたエントロピー生成量の関数として強度を低下させていくアルゴリズムを考案した。これをシンガポール国立大学と共同で汎用有限要素解析ソフトABAQUSに導入した。本モデルを利用すると、繰り返し負荷の周波数の変化、応力レベルの変化に応じて劣化具合が制御され、ランダムな繰り返し負荷に対する数値シミュレーションが可能となる。これまで単調な繰り返し負荷に対する研究しか行われてこなかったこの業界を席巻するモデルとなる。本成果は使い続けられるもの作りという命題をかなえる重要な技術革新である。本成果はInternational Journal of Fatigueへ22年5月に投稿した。 22年度からは、当該モデルを用いて、CFRP積層板のトランスバースクラック発生~進展の数値シミュレーション、およびCFRPロープの損傷に関して、繰り返し負荷を与えてどのような挙動となるのかを調査していく。22年度はシンガポールに訪問して詳細な議論を行い、モデルのブラッシュアップを図るとともに、JAXAでの実験を開始し、実験と数値シミュレーションの比較を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね当初の計画通り進展している。21年度はコロナパンデミックにより対面でのディスカッションがかなわなかったが、web会議を重ね、メールでの情報交換を密に行うことで、当初の計画通り国際共同研究を実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、シンガポール国立大学に出向いて、綿密な議論を経て、モデルのブラッシュアップを図る。現状、損傷開始前の剛性低下を考慮に入れてない点、非線形粘弾性を考慮していない点など、解析コストが高すぎる点など、様々な改善点を有する。シンガポール国立大学の有限要素解析に関するノウハウを融合し、万能なモデルの開発を目指す。また、実際のCFRP積層板やCFRPロープの解析に着手する。一方で、CFRP積層板やCFRPロープの疲労試験を実施し、実験と解析の比較を行う。
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Causes of Carryover |
シンガポールに訪問できず旅費が使用できなかった。22年度に併せて使用する予定である。
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