2023 Fiscal Year Annual Research Report
スリランカにおける下水水質情報に基づいた下水管路劣化予測システムの開発
Project/Area Number |
21KK0069
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐野 大輔 東北大学, 工学研究科, 教授 (80550368)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水谷 大二郎 東北大学, 工学研究科, 助教 (30813414)
Amarasiri Mohan 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (50815537)
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Project Period (FY) |
2021-10-07 – 2024-03-31
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Keywords | スリランカ / 下水管路劣化予測 / 下水水質情報 / 微生物起源解析 / 土壌微生物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、スリランカにおいて、微生物の起源を同定する手法であるMicrobial Source Tracking(MST)の手法を応用し、下水管の破損部分から混入する土壌由来の微生物の下水中に占める割合を空間的・時間的に把握することで、下水管破損箇所を推定し、かつ下水管劣化速度の予測に適用するための新規手法を開発することを目指すものである。研究最終年度である令和5年度においては、スリランカ・カンディ市内の調査地点における下水サンプルの取得、及び遺伝子定量を行った。同時に、日本国内で採取した下水からも総DNAを抽出し、腐食した下水管路からの検出頻度が高い細菌種由来遺伝子の同定を行った。その結果、腐食が進んだ下水管路を通過した下水中には、硫黄や硫酸を代謝することが可能な細菌種の濃度が増加することが確認された。特にThiothrix属は、コンクリート腐食の進行に伴う微生物叢の変化において最初に出現する硫黄酸化細菌として報告されており、初期段階の腐食を特定する遺伝子マーカーとして利用できる可能性がある。硫酸還元細菌では、Desulfobulbus属及びDesulfomicrobium属が候補として得られた。これらは下水中の嫌気性バイオフィルムを構成する硫酸還元細菌として報告されている。これらの細菌に由来する遺伝子が腐食した下水管路の場所を示す遺伝子マーカーとして使用可能であることが示唆された。
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