2023 Fiscal Year Research-status Report
Synthesis of 9,10-phosphasilaphenanthrene derivatives with molecular cavity, and elucidation of their properties
Project/Area Number |
21KK0094
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
笹森 貴裕 筑波大学, 数理物質系, 教授 (70362390)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森迫 祥吾 公益財団法人相模中央化学研究所, その他部局, 副主任研究員 (70874840)
中村 貴志 筑波大学, 数理物質系, 助教 (90734103)
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Project Period (FY) |
2021-10-07 – 2025-03-31
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Keywords | 高周期典型元素 / ケイ素 / リン / ホスフィン / ビフェニル / フェナントレン / スズ |
Outline of Annual Research Achievements |
有機π電子共役系は、有機機能化学における機能性物質の基盤となる骨格である。有機π電子共役系化合物のほとんどは、炭素・酸素・窒素といった第二周期元素のみから構成されているが、それは、第三周期以降の典型元素の機能性に問題があるわけではなく、高周期典型元素を含むπ電子系化合物の合成・単離が困難であることが理由である。リンやケイ素などの高周期典型元素π電子系の化学を物性・機能化学を主眼として新たに展開するためには、高周期典型元素π電子系を適切な形で有機π電子系骨格へ導入する必要があり、高周期典型元素π電子系の「物性・反応性を維持しつつ安定な化合物として合成・単離する」ための分子設計と適切な合成法の確立が重要な課題となる。 本研究では、適切な分子空孔を有する配位子を設計・合成した上で、分子空孔を活用して、リンおよびケイ素を含む「高周期典型元素フェナントレン」を新たな高周期典型元素π電子系分子として合成し、その特異な電子構造に由来する電子特性や反応性を精査することを目的とする。 前年度に、立体保護部位として複数のtert-ブチル基をもつ、ジブロモビフェニルにリンを導入した一級ホスフィンの合成法を確立した。本年度は、ホスフィン部位をもつビフェニルユニットに、さらにケイ素を導入する前駆体として、安定な化合物として分離・精製可能な有機金属化合物として、トリブチルスズユニットを導入した化合物の合成を達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでは、コロナ禍のためドイツへいくことが困難であり、zoom会議による打ち合わせに終始し、それぞれの研究室で下準備と事前の合成計画を綿密に立てていた。昨年度以降、これらの下準備を活かして実際に研究分担者二名が渡独し、合成研究を進めることができた。本年度も、研究代表者含め、研究分担者、また研究協力をする大学院生が、それぞれドイツへ行き、合成実験を速やかに進めることができた。最終目的とするホスファシラフェナントレンのよい前駆体になると期待できる化合物の合成を達成し、概ね順調な進行と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、リンおよびスズユニットを有するビフェニル化合物に対してクロロシラン類を反応させることで、金属交換反応を経て、ケイ素ユニットの導入を検討する。さらにこれを前駆体として、脱塩化水素反応を進行させることで、ケイ素とリン原子の間に二重結合を形成することで、ホスファシラフェナントレンの合成を目指す。
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Causes of Carryover |
国内学会予定との重複や、海外渡航費用の高騰などが理由で、ドイツへの渡航予定が短縮・延期されたため。 次年度は、ドレスデンへ代表者・分担者のそれぞれがドレスデンへ赴き、研究成果をまとめる。
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