2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of a platform for drug discovery by isolation and synthesis of novel natural products derived from unculturable marine cyanobacteria
Project/Area Number |
21KK0099
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
吉田 将人 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (80511906)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 有紘 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 講師 (00754897)
植草 義徳 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 助教 (30753024)
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Project Period (FY) |
2021-10-07 – 2025-03-31
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Keywords | シアノバクテリア / ペプチド / 全合成 / 構造決定 |
Outline of Annual Research Achievements |
米国カリフォルニア大学Gerwick教授との国際共同研究の推進を通じて、海外原産難培養性シアノバクテリア由来生物活性天然物の探索、有機合成化学による誘導体合成法の確立と構造活性相関研究へ展開することで、リード化合物創出のブレークスルーとなり得る創薬基盤の構築が目標である。令和4年度は、新規天然物の単離および合成について検討した。
・抗リーシュマニア活性を示す鎖状リポペプチドviridamide類について、文献情報と合成化合物の構造情報から類推される構造(全16種類)を合成し、天然物との比較を行った。しかし、いずれも文献データと一致せず、提唱されているviridamide類の構造に完全な誤りがあることがわかった。そこで、Gerwick研にてシアノバクテリアを再培養し、天然物を改めて単離した。得られたNMRスペクトルを用いて再度構造決定を行った結果、提唱構造とは異なる平面構造であることを明らかにした。 ・Bromoiesol類の新規類縁体の取得に成功し、現在マイクロ電子回折を活用した構造決定を進めている。一方、未同定難培養シアノバクテリアより、これまで知られている中で最大級のシアノバクチンを単離した。構造決定のためにメタゲノム解析を実施し、生合成遺伝子クラスターの構成をもとに平面構造を決定した。さらに、オケアニア属海洋シアノバクテリアより、抗トリパノソーマ活性を示す鎖状ペプチドを単離、構造決定した。 ・海洋シアノバクテリア抽出物に含まれる化合物群の分子ネットワークのさらなる解析により,新たに5種の微量化合物を単離した.そのうち2種は,環状フタル酸エステルであり,また1種はシアノバクテリアの細胞膜成分由来であった.残る2種は生合成遺伝子クラスターのNRPS/PKSによって生合成されるであろう化合物であることがNMRスペクトル解析によって推測され,現在これら構造について解析を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・シアノバクテリアの再培養、およびviridamide類を再度単離することができ、得られるNMRスペクトルから構造に誤りがあるviridamide類の真の平面構造を明らかにすることができている。提唱構造の全合成はすでに達成しており、その合成法が確立していることから、新たに得られた平面構造の合成を実施する段階にある。
・Bromoiesol類は抗トリパノソーマ活性を示す化合物であり、その新規類縁体を発見できたことは大きな成果である。構造決定後は、トリパノソーマやマラリアといった病原原虫に加え、昨年度に利用可能となった抗ウイルス活性(COVID-19、インフルエンザなど)の評価も実施する。一方、史上最大級のシアノバクチンを発見できたことは、新たなケミカルスペースを提供するという点で意義が大きい。
・新規化合物の発見およびそれら生合成遺伝子クラスターの解析が順調に進んでいるが,収量の少なさが構造解析を困難にしている.そこで化合物量を増やすために,スケールアップさせたシアノバクテリアの培養を継続している.また既知のpalmyramide類や新規honuaiakeamide類の生合成経路を解明するために,同位体標識した栄養源を用いて同位体取り込み実験を実施している.
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Strategy for Future Research Activity |
・シアノバクテリアの再培養と単離により、所望の天然物を得ることができており、NMR測定から真の平面構造を得ることに成功した。今後、得られた平面構造をもとに合成研究を進め、viridamide類の真の構造を明らかにするとともに、構造活性相関研究を指向した誘導体合成を検討する。また、これまで得られている提唱構造の誘導体については、抗リーシュマニア活性など生物活性試験を行うことで、新規生物活性化合物の取得を検討する。
・Bromoiesolの新規類縁体については、構造決定後、以前確立した合成ルートを参考に量的供給を行う。一方、巨大シアノバクチンについては、絶対立体配置の決定のために全合成研究を進めている。いずれの化合物についても、合成品を用いて詳細な生物活性(抗原虫活性や抗ウイルス活性など)の評価を行う。
・Honuaiakeamide類をはじめとした新規化合物の絶対立体配置をスペクトル解析および天然物化学的手法により決定する.また,細胞毒性や抗トリパノソーマ活性といった生物活性試験に必要な化合物量を再培養により確保する。さらに,これら新規化合物の生合成を担う生合成遺伝子クラスターが近縁のシアノバクテリア種にも存在するかを解析するとともに,新たな新規化合物の探索を継続していく.
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Causes of Carryover |
コロナの影響により渡航に支障が生じたため。 今年度から渡航に障害がなくなるため、旅費の使用に問題ないと考えている。
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