2023 Fiscal Year Research-status Report
Clarifying evolution and function of foam nests produced by Japanese and Taiwanese green frogs
Project/Area Number |
21KK0100
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
茂里 康 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (90357187)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原本 悦和 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (30540869)
多中 良栄 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (50504073) [Withdrawn]
氏家 和紀 和歌山県立医科大学, 薬学部, 助教 (70910280)
絹見 朋也 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (90293125)
稲垣 英利 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (90344126)
田村 理 和歌山県立医科大学, 薬学部, 教授 (30362619)
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Project Period (FY) |
2021-10-07 – 2025-03-31
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Keywords | 泡巣 / アオガエル / モリアオガエル / シュレーゲルアオガエル / モルトレヒトアオガエル / シロアゴガエル / プロテオーム解析 / 次世代シークエンサー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、東アジア・アオガエル科カエルの泡巣構成タンパク質群の網羅的機能解明を目的とするものである。特に日本国内と台湾内に生息する泡巣を作るカエルから、網羅的に泡巣構成タンパク質の機能解明を実施する事を目的としている。2022年度は新型コロナ感染症の影響で、台湾への渡航を限定して実施した。その結果、長庚大学と台北市立動物園を訪問し、共同研究の進行状況及び次年度の計画について話し合った。2023年度は2024年2月に台湾へ渡航し、台北市立動物園のNian-Hong Jang-Liaw博士とTai Wei-Yu博士とモルトレヒトアオガエル、ホンコンシロアゴガエルの採集を試みた。その結果モルトレヒトアオガエルの泡巣を採取するとともに、台北市立動物園の施設内で輸卵管からtotalRNAを抽出し、輸卵管totalRNA は現地で次世代シークエンス解析に供された。これらの解析作業と並行して、長庚大学のYi-Ting Chen教授の研究室で、泡巣構成タンパク質のプロテオーム解析を実施した。現在次世代シークエンス解析の結果とプロテオーム解析の結果を照合した作業を行っている。一方沖縄に生息する特定外来種のシロアゴガエル泡巣構成タンパク質の精製にも取り組んだ。硫安沈殿・限外ろ過膜・イオン交換樹脂等の精製作業を行い、Ranasmurfin, EC-SOD, Ovostain, WAPなどいくつかの泡巣構成タンパク質を精製する事ができた。現在これらのタンパク質の機能解明を行っている。またモリアオガエルのRanasmurfin, EC-SOD, Hylaserpin, VMOLP, Fucolectin cDNAを単離し、これらのタンパク質の組換え体での発現・精製を目指した。EC-SODについてはアフリカツメガエル卵母細胞、大腸菌、酵母での発現・精製に成功したが、得られた組換え体は酵素活性を示さなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度の実施計画では、台湾のアオガエル属及びシロアゴガエル属のカエル泡巣の解析を進めることを予定していた。台湾のアオガエル属であるモルトレヒトアオガエルは、産卵直前のメス個体と泡巣を入手することができたが、シロアゴガエル属のホンコンシロアゴガエルは、台湾への渡航時期と産卵時期が一致せずメス個体と泡巣を入手することができなかった。そのため、ホンコンシロアゴガエル泡巣解析を進めることができなかった。 また、当初は泡巣構成タンパク質を組換え体として発現・精製し、個々の構成タンパク質の機能を解析する予定であった。しかしながら、大腸菌、酵母などで泡巣構成タンパク質が機能的に発現せず、泡巣から構成タンパク質を直接精製し、機能解析を行う方針に転換した。その結果、一部の泡巣構成タンパク質の機能を生物学的に解明することに成功した。やはり新型コロナ感染症が研究者の渡航と研究計画の進展に大きく影響したと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本共同研究を通して、台湾の固有種であるモルトレヒトアオガエルの泡巣構成タンパク質を網羅的に同定することに成功した。この過程で、日本と台湾の研究者の間で信頼関係を構築し、台湾での生物資源の分析が可能となった。今後、台湾の他の生物資源を利用する場合にもこのアクセス・ルートを利用することが可能となった。つまり社会基盤の整った台湾の研究者をパートナーとしたこともあって、現地でサンプルを調製、分析(トランスクリプトーム、プロテオームのデータを取得)することができた。このことは、海外の生体サンプルを日本国内に持ち込むことなしに、研究することが可能となることを意味し、生物多様性条約に関連する諸問題を解決することにつながる。
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Causes of Carryover |
本研究計画を開始後すぐに、新型コロナ感染症が世界的に蔓延し、初年度及び二年度は実質的に台湾との国際共同研究の進行が停滞してしまった。その結果、台湾への渡航すなわちサンプル採集等がこれまで二回しかできず研究計画の遂行が遅れている。そのために次年度使用額が生じた。
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Research Products
(5 results)