2022 Fiscal Year Research-status Report
Ethnopharmacological investigation of novel bioactive compounds from Sudanese plants
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21KK0102
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
石原 亨 鳥取大学, 農学部, 教授 (80281103)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 賢次 鳥取大学, 農学部, 准教授 (00400143)
美藤 友博 鳥取大学, 農学部, 准教授 (20776421)
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Project Period (FY) |
2021-10-07 – 2025-03-31
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Keywords | タマリンド / Rumex vesicarius / フラボノイド / 縮合型タンニン / スーダン |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、タマリンドの葉に含まれる成分の分析を実施した。タマリンド葉をメタノールで抽出し、HPLCによって分析したところ、254 nmおよび280 nmの紫外線を吸収する複数のピークを検出することができた。これらの化合物はタマリンド葉に含まれる主要なフェノール性の二次代謝産物であると予想された。そこで、主要なピークに対応する化合物をODSカラムクロマトグラフィーおよび分取HPLCにより単離した。さらに、NMRやマススペクトルを用いて構造解析をおこなった。これらの化合物は、フラボノイドのkaempferol-3-O-α-L-rhamnosideおよびquercetin-3-O-α-L-rhamnosideであった。 また、乾燥した熱帯地域に自生する植物Rumex vesicariusのアルコール抽出物の成分分析を行った。Rumex vesicariusからは6種の化合物をODSカラムクロマトグラフィーとHPLCにより単離し、その構造を解析した。6種の化合物のうち2種は加水分解型タンニンであり、残りの4種はフラボノイド配糖体であった。 さらに、スーダン側の共同研究者Sara Ahmed Eltigani博士を約30日間招へいし、スーダンで香料として用いられる、植物材料(Combretum spp.、Terminalia laxiflora、Terminalia brownii、Acacia seyal var. seyal、Pseudocedrela kotschyi、Commiphora Africana、Boswellia papyrifera)から得られる揮発性物質を、モノトラップ吸着、燃焼により得られる煙の抽出、溶媒抽出の3種の方法で抽出し、GC-MSで分析した。その結果、多数の揮発性物質の同定に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイスの感染拡大により当初予定していた、スーダンへの渡航を実施することができなかった。そのため、スーダン側の研究者Sara Ahmed Eltigani博士を招へいし、現地での植物の加工に関する情報を得るとともに、成分分析を実施した。多数の揮発性テルペノイドの検出成功した。10種の標品を入手し、マススペクトルとガスクロマトグラフィーにおける保持時間の比較により化合物を同定することができた。このため、スーダンへの渡航の中止による影響を最小限に留めることができたと考える。 一方で、新たな植物材料であるRumex vesicariusからは、6種の化合物を同定することができた。これらの化合物は、すべてこの植物種での存在が報告されてない化合物であった。さらに、分子量1000近くの縮合型タンニンの同定にも成功しており、研究全体としては順調に推移しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
タマリンドでは、葉のエタノール抽出物が抗炎症作用を有することや葉のメタノール抽出物が抗酸化活性を示すことなどが報告されている。さらに、ナイジェリア北部では、葉の抽出物を黄疸や胃腸障害の治療に、セネガルでは葉の粉末を切り傷の治療に用いている。一方、Rumex vesicariusはインドでは胃炎や歯痛の治療に、エジプトやサウジアラビアでは気管支炎や喘息の治療に利用されることなどが報告されている。スーダンで広く使用される香料には、皮膚の炎症や婦人病の軽減などの治療効果についての報告がある。本課題では、これらの植物由来抽出物を含む治療薬に含まれるどの成分が生理活性を示すのかを明らかにすることを一つの目的としている。これまでの研究で、フラボノイド配糖体、縮合型タンニン、揮発性テルペノイドを多数同定することができた。今後は、単離した化合物が有する生物活性の検出に主眼を置く。抗菌活性、抗炎症活性、チロシナーゼ阻害活性、メラノーマ細胞に対する増殖阻害活性などについて、単離した化合物の効果を明らかにする。
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Causes of Carryover |
当初、日本側研究者3名がスーダンを訪問し、現地での薬用植物の利用状況の調査を行う予定であったが、新型コロナウイルスの感染拡大のため、訪問を中止し、現地から共同研究者Sara Ahmed Eltigani博士を招へいすることで、研究の進捗をはかった。そのため、予定していた旅費の一部を次年度に使用することとした。
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