2021 Fiscal Year Research-status Report
媒介蚊はなぜウイルス感染で深刻な病態を示さないのか:不顕性感染メカニズムの解明
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21KK0107
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
鈴木 康嗣 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 助教 (00896087)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 郁修 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 特別研究員 (10839632)
堀江 真行 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (20725981)
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Project Period (FY) |
2021-10-07 – 2025-03-31
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Keywords | 媒介蚊 / 不顕性感染 / 昆虫特異的ウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
媒介蚊は、デングウイルスなどの多くの病原性ウイルスを人に伝播する。このウイルス伝播には、ウイルスが媒介蚊個体内で十分量増える必要がある。よって、媒介蚊自身も重度にウイルスに感染していることを示している。一方で、媒介蚊における深刻なウイルス病態は観察されないため、シマカなどの媒介蚊は、広範なウイルスに対して、不顕性感染を成立させていることが示唆される。本研究では、人為的に遺伝的・環境的要因を変動させた条件下では、シマカにウイルス病態が引き起こされるかを検討し、その分子機構を理解することで、媒介蚊の不顕性感染メカニズムを解明する。 病態誘導の指標としては、蚊の生存期間、産卵数ならびに孵化率を用いることとし、これらをネッタイシマカ個体で、定量的に測定する方法を確立した。さらにこれらの方法を用いた予備実験として、自然界においてネッタイシマカから多く検出される蚊特異的ウイルスであるcell-fusing agent virus (CFAV) を感染させた成体蚊の生存期間、産卵数、そして孵化率の測定を行った。その結果、CFAV感染によって、ネッタイシマカの生存期間や繁殖には、深刻な影響がみられないことがわかった。加えてネッタイシマカ成体におけるCFAV RNA量の定時的に測定し、CFAVは長期間に渡り、高いRNA量を示すことが明らかとなった。 新型コロナウイルス感染症の影響により、国際共同研究先であるフィリピンならびにフランスには渡航することが叶わなかったが、オンラインミーティングを設け、上記の結果ならびに今後の方針について、議論した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の流行により、国際共同研究先、特に仏・パスツール研究所に訪問することが出来なかったため、当初予定していた当該研究所で開発された蚊の吸血行動を詳細に解析・定量化する方法を実地で習得することが出来なかった。一方で、CFAV感染蚊を用いた生存期間や産卵・孵化を定量的に測定する方法を確立し、その測定も予備実験として行うことが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
蚊の飼育時における環境因子を変動させ、CFAVをはじめとするネッタイシマカに感染性を有するウイルス感染による病態が誘導されるかを検討する。また、特定の遺伝子発現を制御した成体蚊においても、同様にウイルス病態の誘導を観察する。 国際共同研究先とは、引き続きオンラインミーティングを行いつつ、機を見て、訪問し蚊の吸血行動の定量法の習得などを実施する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により、国際共同研究先(フランスならびにフィリピン)への渡航・滞在が出来なかったため。また、使用する試薬の期限などを考慮し、次年度に購入を次年度に見送ったものがあったため。
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Research Products
(4 results)