2023 Fiscal Year Research-status Report
マダニ感染モデルを用いたダニ媒介性ウイルスの感染機構解明に向けた国際共同研究
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21KK0123
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
好井 健太朗 長崎大学, 高度感染症研究センター, 教授 (50421988)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 進太郎 北海道大学, 獣医学研究院, 准教授 (00634205)
平野 港 長崎大学, 高度感染症研究センター, 助教 (30901029)
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Project Period (FY) |
2021-10-07 – 2025-03-31
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Keywords | ダニ媒介性ウイルス / マダニ / 人獣共通感染症 / ダニ媒介性脳炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
マダニは多様な病原体を媒介し、中でも致死性が高いダニ媒介性人獣共通感染症ウイルスは旧大陸の広範な地域で流行しており、その流行防止対策は重要な課題となっている。そのためには、マダニにおけるウイルス感染機構を明らかにし、それを対象とした疾病制御法を確立する必要がある。しかしマダニの細胞や生体の飼育系等、解析するための実験系が確立していないため、ウイルス感染機構の詳細な解析は世界的にも困難な状況にある。そこで本研究では、マダニのバイオリソースを用いてウイルス感染モデルの構築を行い、それを活用してダニ媒介性ウイルスの感染・伝播機序の解析を行う。 本年度での研究では、媒介動物であるマダニに由来する因子がウイルス増殖・伝播に与える影響についての解析を進めた。マダニは吸血の際に宿主の免疫応答を回避して長期間の吸血を成立させるために唾液から多様な因子を吸血部位に放出する。それら唾液由来因子の中でも免疫制御機構を有する事が知られているシアロスタチン-2(SL-2)に着目し、マウスモデルを用いてダニ媒介性脳炎ウイルス感染時に組換えタンパクとして作製したSL2を投与する事によって、病原性への影響を解析した。SL2を投与することにより、ウイルス接種マウスの生存率の低下が認められた。また、SL2を投与した群では体内での感染初期のサイトカインの発現量の現象が認められた。これらの結果により、SL2はマウス体内での免疫機構に影響を及ぼすことにより、ウイルスの病原性を増大している可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通り、マダニにおけるダニ媒介性ウイルスの感染動態に影響を与えるウイルス/宿主要因に関する解析が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、マダニによるウイルスの増殖・伝播機構について、関与するウイルス・宿主因子に関しての同定・機能解析を進めることで、マダニにおけるウイルス感染の分子機構の詳細解明を推進する事を予定している。
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Causes of Carryover |
共同研究先の海外研究機関で予定していた研究の一部が、使用予定機器の不具合のため実施できず、そのために使用を予定していた物品の購入を見送った。この分については次年度に物品を購入して実験を実施するために使用する予定である。
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