2022 Fiscal Year Research-status Report
Generation of African Swine Fever virus-resistant pigs by applying the concept of gene editing technology
Project/Area Number |
21KK0124
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
谷原 史倫 自治医科大学, 医学部, 准教授 (90754680)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下田 宙 山口大学, 共同獣医学部, 准教授 (40719887)
田中 良法 岡山理科大学, 獣医学部, 助教 (00747933)
音井 威重 徳島大学, バイオイノベーション研究所, 教授 (30311814)
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Project Period (FY) |
2021-10-07 – 2026-03-31
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Keywords | アフリカ豚熱 / ゲノム編集 / CRISPR/Cas9 / ブタ |
Outline of Annual Research Achievements |
アフリカ豚熱(African Swine Fever: ASF)は家畜豚への驚異的な伝搬力と致死率から世界の養豚業を破壊しうる伝染病であり、現在までワクチンを含む治療法はない。本研究では、ブタの体内に発現させた遺伝子切断酵素Cas9とCas9を標的ゲノム配列に誘導するガイドRNA(gRNA) により侵入してきたウイルスDNAを切断・失活させるという発想のもと、ASFウイルスを標的としたCas9/gRNA発現ブタを作出する。細胞内に発現させたゲノム編集システムにより感染時に侵入してきたASFウイルスDNAを切断し、ASFウイルスの増殖を阻害することで感染防御能を付与する。現在もASFが散発し多数の野生株を保存しているベトナムで2機関と共同研究を行い、ASFウイルス感染抵抗性ブタ系統の作出を試みる。 細胞レベルでの感染実験をベトナムで実施するため、日本国内で初代ブタマクロファージにSV40LT遺伝子とpTERT遺伝子を組み込んだ不死化ブタマクロファージの作製に着手した。ウイルスベクターを用いてSV40LT遺伝子とpTERT遺伝子を導入する準備は完了し、現在は腎臓および血液から初代ブタマクロファージの単離を行っている。加えて、昨年度はCOVID-19の感染拡大の影響でベトナムに赴くことはできていなかったが、本年度は共同研究実施先のVietnam National University of Agricultureへ実際に赴き、共同研究者との打ち合わせを行い、研究実施にむけた環境整備と実験系のセットアップを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まずは細胞レベルでのアフリカ豚熱感染実験を実施するための細胞株の樹立に着手し、SV40LT遺伝子とpTERT遺伝子のクローニングと配列確認、ウイルスベクターへの組み込み等が完了した。さらに、令和6年度から行うトランスジェニックブタの作出について、胚での顕微注入条件等の予備検討を開始し条件の最適化が完了している。研究はおおむね順調に進展している 令和5年度から必要となるベトナムにおける実験系のセットアップも、実際にVietnam National University of Agricultureに赴き本年度で完了することができたため、進捗状況に問題はない。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の変更は現時点では無く、まずはCRISPR/Cas9システム発現コンストラクトを不死化ブタマクロファージに組み込んだうえでベトナムで実際に流行しているアフリカ豚熱野外株を用いた感染実験へと展開する。 ベトナムへの渡航も通常通り行える情勢となりつつあるため、研究計画通りに研究を推進していく予定である。
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Causes of Carryover |
令和4年度ではベトナムへの渡航費用として予算を計上していたが、COVID-19の影響により渡航を最小限にとどめた為に次年度使用額が発生している。情勢を確認しつつ、次年度使用額も投入して密にベトナムでの研究を推進し、研究に遅延が生じないように留意する。加えて、ベトナムにおいて遺伝子改変ブタを作出する際には受胚豚として多くの成豚が必要となるほか、飼育にかかる諸費が多額になるため、渡航計画に変更が生じた場合にも飼養頭数を増加させて研究のさらなる推進を図るなど、無駄なく予算執行可能な計画としている。
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