2022 Fiscal Year Research-status Report
胎児期の重金属暴露が子どもの神経発達に与える影響:ネパールでの出生コホート研究
Project/Area Number |
21KK0165
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
梅崎 昌裕 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (30292725)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
Wai KyiMar 弘前大学, 医学研究科, 助教 (10867154)
高安 伶奈 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (20814833)
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Project Period (FY) |
2021-10-07 – 2026-03-31
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Keywords | 重金属暴露 / 神経発達 |
Outline of Annual Research Achievements |
本プロジェクトは、ネパール・テライ地方で2009年にたちあげた出生コホートのフォローアップ研究である。2009年の調査で中心的な役割を果たしたトリブバン大学のパラジュリ博士との共同研究としてすすめている。胎児期の重金属暴露が思春期の神経発達指標に与える影響を、ネパール・テライ地方におけるケーススタディーとして明らかにすることを目的としている。2009年のプロジェクトでは、胎児期の重金属暴露(Pd, As, Zn)を臍帯血のサンプルを用いて評価し、出生時、出生後6か月、24か月、36か月の神経発達指標への影響を評価した。2022年度は、出生コホートに含まれる100人に改めてコンタクトを試み、基礎的な個人属性にかかわる情報のみ収集することを予定していたが、パラジュリ博士およびその指導する大学院生の努力もあり、思春期における神経発達指標の評価調査を前倒しで実施することができた。神経発達指標の評価には、Wechsler Adult Intelligence Scale, third edition を、生育環境の評価には、The HOME Scale を用い、出生コホートに含まれる個人ひとりひとりの自宅を訪問してデータ収集をおこなった。収集したデータは、スプレッドシートに入力のうえ、胎児期の重金属暴露を説明変数、2022年に評価した神経発達指標を結果変数、生育環境指数を調整変数としたモデルにより解析をすすめている。プレリミナリーナ結果を、国際学会で報告予定である。胎児期における重金属暴露がライフコースのどのステージでその毒性を現すかという問いに対してエビデンスを追加する研究であると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2009年に調査の対象とした出生コホートに含まれる100人のうち何人にコンタクトできるかが懸念されていたが、大部分の個人とのコンタクトに成功し、神経発達指標の評価が完了したため。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年は日本側の研究者がネパールの調査地を訪問し、コンタクトに成功した出生コホートの個人を対象にした生体試料のサンプリング調査を予定している。収集したサンプルは、ネパール国政府の許可をえたうえで日本の実験室に持ち帰り、バイオマーカーの測定をすすめる。
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Causes of Carryover |
予定を前倒しして、2022年度に神経発達指標を評価するための調査を実施するため、キットの購入費用、調査旅費、調査補助謝金などに充当するため300万円の前倒し請求をした。この調査にかかわる人員が当初予定したよりも少なかったため、760,848円の次年度使用額が生じた。2023年度に本格的なサンプリング調査を予定しており、そこで活躍する人員の旅費・謝金として次年度使用額を支出する予定である。
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