2022 Fiscal Year Research-status Report
Molecular bases of vitamin D-induced skeletal muscle mass regulation: using a novel tracer method
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21KK0177
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
藤田 聡 立命館大学, スポーツ健康科学部, 教授 (80451863)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増山 律子 立命館大学, 食マネジメント学部, 教授 (60297596)
竹垣 淳也 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 特別研究員 (10824055)
中野 大輝 立命館大学, 立命館グローバル・イノベーション研究機構(BKC), 研究員 (80875980)
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Project Period (FY) |
2021-10-07 – 2026-03-31
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Keywords | ビタミンD / タンパク質代謝 / 筋肥大 / サルコペニア / 骨格筋 / 安定同位体トレーサー / 筋萎縮 / レジスタンス運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、高齢期におけるビタミンD不足がサルコペニアリスクに繋がるなど、骨格筋量の維持・改善におけるビタミンDの重要性が着目されている。ビタミンDが筋タンパク質の合成や分解を調節することが骨格筋細胞を用いた研究で明らかとなっている。しかし、動物モデルや臨床試験においては、筋タンパク質の合成や分解の速度を同時に定量化することができず、ビタミンD代謝と筋タンパク質代謝の関係性を検証することができなかった。 本研究では、安定同位体トレーサー法を用いて筋タンパク質合成と分解を同時に測定する手段を開発し、さらにこの新規の筋タンパク質代謝測定法を応用し、ビタミンD欠乏食/過剰食、筋特異的ビタミンD受容体ノックアウトマウス/過剰発現マウスを用いて、運動/不活動時の筋タンパク質代謝バランスの推移およびそのメカニズムを解明することを目的としている。 これらの検討により、骨格筋量の調節におけるビタミンD代謝の役割・重要性を包括的に明らかにし、サルコペニア対策におけるパラダイムシフトを実現する。 2022年度においては、前年度に引き続き、研究課題①として、筋たんぱく質合成とタンパク質分解を同時に測定可能な新規トレーサー法の確立に向けた実験を実施した。マウスに対して[メチルD3]-13C-メチオニンを腹腔投与した後、マウス尾静脈より投与前、投与後において経時的に採血を行った。中・長期的な筋タンパク質代謝の測定においては、体内のトレーサー濃度の変化を適切に確認・管理することが重要であるため、血液サンプルを液体クロマトグラフ質量分析計とガスクロマトグラフ質量分析計の2つの装置を併用した分析を行い、血液中のトレーサー濃度の動態を確認した。また、研究課題②の実施に向けて、筋特異的VDRノックアウトマウスを作出し、運動介入および筋萎縮モデルの確立に向けた検討を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は前年度に引き続き、動物モデルを用いて筋タンパク質合成・分解を中・長期的に測定できる手法を開発することを目的として研究を継続した。日本側でトレーサーを単回投与した後の血液および骨格筋のサンプルを作成し、サンプルをノッティンガム大学へ持ち込み、解析を実施した。本学からの研究メンバーが渡英し、サンプル処理及び質量分析計での分析に向けた準備を進めた。またノッティンガム大学からも研究者が来日し、筋特異的VDRノックアウトマウスを用いた実験に関する議論を行い、2023年度の実験に向けた準備を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、野生型マウス/筋特異的VDRノックアウトマウス/筋特異的VDR過剰発現マウスに対して、通常食/ビタミンD欠乏食/ビタミンD過剰食を投与する介入を実施する。その後、[メチルD3]-13C-メチオニンを腹腔投与し、一日置きのレジスタンス運動またはMorey法による下肢免荷を一週間実施することで、筋肥大および筋萎縮刺激を与える。回収した組織サンプルはノッティンガム大学にて質量分析計を用いてタンパク質代謝を評価する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍であったため、想定の頻度で渡英することができなかった。また英国からの研究者の訪問回数も予定より少なかったこともあり、研究実施に関わる消耗品費も含め、次年度使用額が発生した。2023年度には計画どおり渡英するが、滞在期間を延長することでさらに研究を進める予定である。
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Research Products
(7 results)