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2021 Fiscal Year Research-status Report

パンデミック状況での過剰な医薬品使用の環境への影響:薬剤耐性と水圏生物への影響

Research Project

Project/Area Number 21KK0188
Research InstitutionNational Agriculture and Food Research Organization

Principal Investigator

玉村 雪乃  国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究部門, 主任研究員 (90584384)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 関塚 剛史  国立感染症研究所, 病原体ゲノム解析研究センター, 室長 (40462775)
グルゲ キールティ・シリ  国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究部門, グループ長補佐 (50391446)
Project Period (FY) 2021-10-07 – 2025-03-31
Keywords環境化学 / 薬剤耐性 / メタゲノム解析
Outline of Annual Research Achievements

本課題では、申請者らがCOVID-19流行以前より継続的に調査を行っていたスリランカを対象とし、COVID-19流行下における過剰な医薬品使用の薬剤耐性菌、医薬品残留物、重金属による環境汚染への影響を明らかにすることを目的とする。
2021年度は、スリランカにおいて病院排水及び河川水の採材を2回実施した。採材は8カ所の病院の処理前の排水、下水処理施設に流入する処理前水、処理過程水、処理後水、マハウェリ川2カ所、キャンディ湖、小川等の約20地点で行った。採取した水試料について物理化学的性状(pH、水温、BOD、COD、濁度、硝酸塩、亜硝酸塩等)を測定し、また最確数法により大腸菌群数及び大腸菌数を測定した。下水処理施設の処理前後で大腸菌群数が大きく減少し、BOD、CODも低下していた。
本年度はさらに、COVID-19流行以前である2016年から2018年に採取した水試料を用いてメタゲノム解析を行った。細菌叢のクラスター解析により、河川水は病院排水とは異なるクラスターに分類され、さらに下水処理前の病院排水のみでサブクラスターを形成した。下水処理前の病院排水が含まれるサブクラスターでは、Bifidobacteriumを含む複数の腸内細菌が多く検出された。一方で下水処理施設由来の排水では、環境細菌が共通して多く検出される傾向を示した。薬剤耐性遺伝子の検出量の総量は、下水処理前後で差は認められなかった。下水処理前の病院排水ではアミノグリコシド耐性遺伝子や臨床で問題となる基質特異性拡張型βラクタマーゼ遺伝子(blaCTX, blaOXA-10)やカルバペネマーゼ遺伝子(blaVIM)の検出量が多く、下水処理後の病院排水ではサルファ剤、トリメトプリム耐性遺伝子の検出量が多い傾向が認められた。また、下水処理前後で異なる種類のマクロライド及びテトラサイクリン耐性遺伝子の検出量の増減が認められた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度は予定していた通り、スリランカで採材を行うことができた。採取した試料については物理化学的性状まで測定できている。また、COVID-19流行前に採取した試料についてメタゲノム解析を行い、下水処理前後の菌叢の違いや検出される薬剤耐性遺伝子の特徴を明らかにしている。これらの進捗状況から、おおむね計画通りに進展していると判断した。

Strategy for Future Research Activity

2022年度はスリランカでの採材及び物理化学性状の解析を継続するとともに、検体を日本に輸送し、検体からの医薬品残留物、重金属及び薬剤耐性菌の検出を行う。また、各検体からDNAを抽出し、メタゲノム解析を実施する。

Causes of Carryover

スリランカへ出張して採材を行う予定であったが、日本国内及びスリランカにおいてCOVID-19が蔓延していたことから、出張を翌年度に延期した。そのために旅費を使用しなかったため、次年度使用額が生じた。翌年度中に2回出張し、旅費及び採材用の消耗品費に使用する予定である。

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Published: 2022-12-28  

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