2021 Fiscal Year Research-status Report
散乱特性探索照明を併用した拡散反射型生体イメージングの特性把握と実験的検証
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21KK0196
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
羽石 秀昭 千葉大学, フロンティア医工学センター, 教授 (20228521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
葉 臣 千葉大学, フロンティア医工学センター, 特任助教 (60867498)
西舘 泉 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70375319)
中野 和也 宮崎大学, キャリアマネジメント推進機構, 助教 (80713833)
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Project Period (FY) |
2021-10-07 – 2025-03-31
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Keywords | 拡散反射イメージング / マルチバンド撮影 / 構造化照明 / in vivo計測 / 酸素飽和度 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト臓器など光吸収物体の拡散反射光イメージングでは、深度方向からの光波が積分されて検出されるため、深部の情報がどの程度寄与しているか不明なまま扱われている。本研究では、積分された情報からその構成要素を再構成するのではなく、得られている情報が、どの範囲からどの程度の重みで画像に寄与しているかを得ようとするものである。本研究課題の令和3年度の実績は以下のとおりである。 (1)拡散反射光解析による3次元吸収体分布画像再構成の限界の分析:本課題の出発点となる3次元再構成の困難さについてまず分析を行うこととした。点状の入射光に対する拡散反射光分布を多数に入射点に対して取得し、そこから3次元の吸収体分布を再構成する試みを行った。スパース性を考慮した正則化によってある程度正確な再構成像が得られる一方、深部において劣化する性質についてシミュレーションおよびファントム実験を通して知見が得られた。 (2)高性能の3Dプリンタを用いて本研究に適したファントムを作成する作業に着手した。要望に対応できそうな業者を選定し1回目の試作を行った。改善点を明確化した。 (3)厚みをもった生体の拡散光イメージングの特性を分析するために、厚さ2mm程度の透明セルに酸素飽和度既知の牛血を入れ、これに白色光を背面照射し、透過光の分光イメージングを行った。この画像から得られる血液の酸素飽和度と真値の差異を分析して、拡散光分布のもつ特性の理解を深めた。 (4)厚みのある生体の深部と表層像の関係性を分析するために、ラットの皮弁を作成し、深部の血液分布は造影剤を用いた近赤外イメージングにより、表層の血管分布は独自のミクロ光学像撮影系により、それぞれ取得し、関係性を分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
拡散光イメージングの基本特性をシミュレーションやファントム、ラット皮弁を用いた調べることができ、研究のスタートとしては順調に進んでいると考える。国際共同研究先の東フィンランド大学との連携に関しては、研究代表者自身の先方への訪問と共同実験の実施は2年目を予定していたため計画どおりである一方で、年度末から先方の研究者を3か月程度受け入れて共同実験を進める予定であったが、コロナ禍のため来日できず、次年度に持ち越すこととなった。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)本撮影と散乱特性探索撮影の組み合わせ:一様照明を用いた本撮影以外に、被写体のおおよその散乱特性を獲得するために点状照射を用いた探索撮影も行う。(2)前記2種の画像情報に基づく画像解析:生体の散乱特性と深部からの寄与度に関する知見から、画像情報解析を行う。上記の撮像法を確立するために本研究では、以下の3点を研究課題として設定し実施する。[A] 構造化照明の制作:生体の基質部分の吸収・散乱特性を点状照射とその反射・散乱光分布の分析から大まかに推定する。[B] 散乱特性の計測と像形成の数学的簡易モデル化:精緻な3次元光学ファントムを用いた撮影実験から散乱特性を把握するとともに、3次元吸収物体から2次元像への対応関係を数学的にモデル化する。たとえば深さ依存性を有する応答関数を用いた畳み込み積分などが例として考えられる。[C] in-vivo実験による検証:AおよびBに基づいて小動物実験およびヒトin-vivo計測実験を通して検証を行う。特に小動物では組織標本の分析なども含め、詳細な照合・検証を行う。 特に上記の研究項目のうち、[A]の構造化照明の制作や[C]のヒト計測実験の部分で、東フィンランド大学のマルックハウタカサリ教授らと共同で研究活動を行う。具体的には研究代表者である羽石が東フィンランド大学に直接出向き、実験や打合せ、機器の試作や改良等を行う。これら先方での共同活動は本研究の中核となる部分である。研究分担者もまた分担内容に応じて先方に出向いて研究を行う。
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Causes of Carryover |
シミュレーション用マルチコアCPUのコンピュータについては現有の研究室内PCでおおよそ代替できたため、次年度予算を合わせてより高性能のPCを購入する可能性を考えて繰り越した。旅費については想定した米国の学会参加がオンラインになったためこれが不要となり、次年度に繰り越して共同研究に要する旅費を一層充実させることにした。
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Research Products
(4 results)