2022 Fiscal Year Research-status Report
近現代中央アジアにおける水利と社会変動―ホラズム地方を中心に―
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21KK0211
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
塩谷 哲史 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (30570197)
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Project Period (FY) |
2022 – 2024
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Keywords | ヒヴァ・ハン国 / ホラズム / 水利史、灌漑史 / 史料研究 / フィールドワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、依然として新型コロナウイルス感染症拡大の影響から、海外渡航ができなかった。しかし、ウズベキスタン共和国科学アカデミー歴史学研究所を中心に、渡航と調査についてやり取りを重ね、準備を進めた。また基課題と連動させて、国内の史資料調査(東洋文庫、東京大学史料編纂所等)と関連分野の研究者間の連携強化(アジア経済研究所等)に努めた。基課題と重なるが、中央アジアの水利史、ホラズム地方史、史料研究に関連した以下の論文を刊行できた。 Shioya, Akifumi, "Shiite Captive Release Negotiations in Khiva: A Nexus of Khivan-Iranian and Anglo-Russian Relations," Acta Slavica Iaponica, 43, pp.73-93, 2023. Shioya, Akifumi, "Islam and the Nomadic Political Tradition in the 19th-Century Khanate of Khiva," Oriente Moderno, 102, pp.68-87, 2022. 塩谷哲史「19 世紀ヒヴァ・ハン国の年代記」野田仁編『近代中央ユーラシアにおける歴史叙述と過去の参照』東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所, 93-106頁, 2023年. 塩谷哲史「ラクダと都市が支えた草原の移動―18~19世紀の中央アジアとロシア―」今村薫編『中央アジア牧畜社会―人・動物・交錯・移動―』京都大学学術出版会, 60-81頁, 2023年.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
共同研究は、ウズベキスタン共和国イチャン・カラ博物館のカーミルジャーン・フダーイベルガノフ氏と実施するが、当該国の海外研究者受入状況を鑑み、研究機関の受入はウズベキスタン共和国科学アカデミー歴史学研究所にて行うことになった。同研究所には、人類学のアプローチからウズベキスタンの水利を研究しているアドハム・アシーロフ研究員が所属している。氏の尽力により、受入手続の進行のみならず、関連文献の精査、渡航後の調査計画立案が可能になった。
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Strategy for Future Research Activity |
以下は基課題「近現代中央アジアにおける水利と社会変動―定住民と遊牧民の相互関係を中心に―」(基盤研究(B))と重複するが、今後は研究成果の公表と国内外の研究者との連携強化を進める。前者に関しては、中央アジア灌漑史の単著刊行に向け、関連史資料の読解・整理をこれまで同様進めていく。後者に関しては、国内で中央アジアの水利史を専門とする研究者に基課題の分担者に加わっていただき、国外では本研究課題の共同研究者との連携を強化し、さらに国内の自然科学分野から中央アジアの水利を専門とする研究者グループとの共同研究を実施する。これらを通じて、国際性、学際性、持続性を持つ中央アジアの灌漑史・水利史研究の基盤を構築する。
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