2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21KK0237
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松林 哲也 大阪大学, 大学院国際公共政策研究科, 教授 (40721949)
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Project Period (FY) |
2022 – 2024
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Keywords | 投票制度 / 投票率 / 国際比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、投票制度に関する国際比較データベースを構築し、どのような制度環境のもとで有権者の投票参加が促されるのかを明らかにする。具体的には、以下の4つの課題に順に取り組もうとしている。(1)有権者登録、投票方法、投票期間といった投票に関わる一連の制度設計を整理し、どのような制度のもとで投票がしやすくなるのかを定義する。(2)この定義に基づき、投票のしやすさに関する国別データベースを構築する。(3)投票制度データベースを比較選挙調査プロジェクト(Comparative Study of Electoral Systems(CSES))個票データと結合し、投票しやすい制度のもとで行われる選挙では有権者の投票参加が促されるのかを計量経済学的手法を用いて分析する。(4)同時に、投票しやすい制度のもとでは有権者間の投票格差が縮小するかを分析する。 これまでに(1)と(2)の作業を進めてきた。(1)については、先行研究を参考にしながらどの制度側面が投票のしやすさに影響を及ぼすかを調査してきた。有権者登録および選挙当日の票の投じかたという2つの大きな側面があるため、各側面についてどのような情報を集めるべきかを整理した。さらにこの整理に基づき、主に英語圏諸国(米国、カナダ、英国、豪州、ニュージーランド、スウェーデン、オランダ、フィリピン)の投票制度データの収集を行ってきた。さらに、投票制度と投票参加の関係を調査している最新文献を網羅的に収集し、これらの研究における投票制度の定義が本研究における定義の違いを調べている。2023年2月には共同研究者であるTurgeon准教授のいるUniversity of Western Ontarioを訪問し、研究の進捗状況を議論するととともに、研究環境の整備状況を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
投票のしやすさに関する関連文献や投票制度と投票参加の関係を調査している最新文献の整理は終わっている。これらを参考にしながら、何が投票のしやすさを決定するかについての概念化を進めることが出来た。また、現時点では数カ国の投票制度データの収集が終わっている。CSESデータについては、すでにデータクリーニングが終わっている。共同研究者であるTurgeon准教授とも密に連絡を取り合っており、また訪問滞在先の研究環境も万全の状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年4月から2024年4月にかけてUniversity of Western Ontarioに滞在し、Turgeon准教授と共同で研究を進展させる。今後は英語圏以外の国々についてもデータ収集を進める。数ヶ月をめどにデータ収集を終え、投票のしやすさの概念と照らし合わせながら、国際比較が可能なデータベースを構築する。このデータベースをCSESデータと組み合わせ、投票しやすい制度のもとで行われる選挙では有権者の投票参加が促されるのかを計量経済学的手法を用いて分析する。さらに、投票しやすい制度のもとでは有権者間の投票格差が縮小するかを分析する予定である。
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