2022 Fiscal Year Research-status Report
Analysis on spectral and embedded eigenvalues for non-local Schrodinger operators
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21KK0245
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
石田 敦英 東京理科大学, 教養教育研究院葛飾キャンパス教養部, 准教授 (30706817)
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Project Period (FY) |
2022 – 2024
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Keywords | 非局所型シュレディンガー作用素 / 相対論的シュレディンガー作用素 / 分数べきラプラシアン / スペクトル理論 / 埋蔵固有値 |
Outline of Annual Research Achievements |
相対論的シュレディンガー作用素を含んだ、非局所型シュレディンガー作用素について、申請段階の研究方法で述べた3点、正の固有値の非存在、正の固有値の離散性及び多重度有限性、ゼロ固有値の非存在、は部分的ではあるがすべて解明することができた。以下で具体的にどのように解決したかを説明する。まず正の固有値の非存在であるが、分数べきラプラシアンや一般化された相対論的シュレディンガー作用素を含んだ幅広いシンボルに対して証明することができた。相互作用を表すポテンシャル関数にはやや強い仮定を課さなければならないが、それでも十分満足できる結果となった。正の固有値の離散性及び多重度有限性については、ムールの理論を駆使して、この場合もシンボルに分数べきラプラシアンと一般化された相対論的シュレディンガー作用素を含んだ形で証明することに成功した。特にこれらのシンボルのべきが1/2以上であるとき、すなわち相対論的な場合以上のとき、特異性を含んだ広いクラスのポテンシャル関数も許容できることを証明できた。べきが1/2未満のときはポテンシャル関数にC^1級の滑らかさと長距離型の空間減衰を課せば同様の結論が得られることも証明できた。ゼロ固有値の非存在は、拡大されたビルマン・シュウィンガーの原理によって、分数べきラプラシアンの場合だけであるが、以下のようなポテンシャル関数との組み合わせで証明することに成功した。空間3次元以上でコンパクト台を持ち、負の部分が有界で大きさが十分小さなポテンシャル関数。空間3次元以上で、負の部分が可積分、有界で大きさが十分小さなポテンシャル関数。空間3次元に限られるが、負の部分が-2次多項式より速い減衰を持ち、大きさが十分小さなポテンシャル関数。以上の結果は、海外共同研究者との共著論文として査読付き国際誌にて2022年9月に出版されている。また多くの国内外の研究会でも成果発表を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
正の固有値の非存在、正の固有値の離散性及び多重度有限性、ゼロ固有値の非存在、が部分的ではあるがすべて解明することができた。またこれらの結果についての国際共著論文を査読付き国際誌から出版できたので、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
通常のラプラシアンに加える摂動としてのポテンシャル関数について、ロルニック条件やストゥンメル条件を課せば、ポテンシャルのラプラシアンに関する無限小相対有界性や相対コンパクト性が導かれることは古くから知られている。分数べきラプラシアンの場合に相当するこれらのロルニック条件やストゥンメル条件の考察する研究が進みつつある。長期の海外渡航は本年度の3月開始を予定しているが、それ以前にも数回の渡航を実施してこれらの研究を進展させたい。
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