2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of self-healing semiconducting polymers by three-dimensional topological control
Project/Area Number |
21KK0251
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
東原 知哉 山形大学, 大学院有機材料システム研究科, 教授 (50504528)
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Project Period (FY) |
2022 – 2024
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Keywords | 半導体高分子 / 分岐構造 / 有機エレクトロニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国では、超少子高齢化社会に向け、遠隔医療や遠隔診断のためのデジタル化・オンライン化を推進する必要がある。本研究では、上記技術の革新に資する「有機半導体の伸縮化と自己修復化」に焦点を当て、採択課題の「シーケンス制御ブロック共重合体群の創成と伸縮性有機薄膜トランジスタへの応用」(基盤研究B @2021.4~2024.3)に関する研究を発展させることを目的とした。 令和4年度の研究では、鎖中にアルキニル基を有するポリスチレン(PS)-b-ポリ(3-ヘキシルチオフェン)(P3HT)と鎖末端にアジド基を有するポリ(n-ブチルアクリレート)(PnBA)との銅触媒によるアジド-アルキン環化付加反応により、新規H型分岐コポリマーの合成に成功した。従って、本手法により、半導体高分子鎖への特殊分岐構造の導入が可能であることが証明された。得られたH型分岐コポリマーは、薄膜状態において、低いガラス転移温度をもつ内側のPnBAセグメントにより低い弾性率を示し、かつ、外側のPS-b-P3HTセグメントにより良好な光トランジスタメモリ特性を示すことが分かった。また、書き込み-読み出し-消去-読み出しのサイクルにおける優れたメモリ特性、広いメモリウィンドウ、高いON/OFF比、及び優れたON/OFF保持特性を示した。また、本ポリマー薄膜に100%の伸長歪を印加しても、全くクラックのないモルフォロジーが得られ、大きな相分離ドメインの変形により応力が分散され、短距離のラメラ結晶構造が維持されたことを示唆する結果を得た。この結果は、H型分岐コポリマーを用いた本質的に伸縮可能な有機エレクトロニクスデバイス創成のための先駆的な分子設計指針を与えるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの進捗において、新規H型分岐コポリマーの合成に成功しており、半導体高分子の3次元化技術の元となる半導体高分子への精密な分岐様式の導入が可能であることを証明した。得られたH型分岐コポリマーは、薄膜状態において、低いガラス転移温度をもつ内側のPnBAセグメントにより低い弾性率を示し、かつ、外側のPS-b-P3HTセグメントにより良好な光トランジスタメモリ特性を示すことが分かった。特に、本ポリマー薄膜に100%の伸長歪を印加しても、全くクラックのないことから、伸縮性と電子特性を両立する材料の創成に至った。H型分岐構造を含む半導体高分子の有機エレクトロニクス特性に関する研究はこれまでなく、新規性と進歩性が認められる。また、本成果は英国RSCジャーナルJ. Mater. Chem. C (IF = 8.067、査読有)に掲載許可となり、客観的評価も得ていることから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、半導体高分子鎖をもつ分岐高分子の合成、諸特性評価、及び有機エレクトロニクス特性評価を引き続き行う。 A=半導体高分子鎖、B=低Tgポリマー鎖、C=高Tgポリマー鎖を選択し、それぞれ半導体性機能、応力緩和機能、及び弾性付与機能(または自己修復機能)を発現する(AB)n型及び(ABC)n型スターブロック共重合体の合成を検討する。Aセグメントとして、半導体特性の高いポリチオフェン誘導体やドナー・アクセプター型半導体高分子を起用する。Bセグメントには、応力緩和ユニットとして実績のあるPnBAなどの脂肪族系ユニット、Cセグメントには、自己修復性機能を発現するポリマーを選択する。
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