2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of self-healing semiconducting polymers by three-dimensional topological control
Project/Area Number |
21KK0251
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
東原 知哉 山形大学, 大学院有機材料システム研究科, 教授 (50504528)
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Project Period (FY) |
2022 – 2024
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Keywords | 半導体高分子 / 自己修復性 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度の研究では、半導体高分子の3次元化のための要素技術として、側鎖に官能基をもつπ共役高分子合成法の開発に成功した。実際に、Migita-Kosugi-Stilleカップリング重縮合により保護することなくブロモアリール基を側鎖に有するポリ(チエニレンフェニレン)(P1)を直接合成することに成功した。今後、グラフト化などを通じて自己修復性ユニットを側鎖に導入できれば、3次元に分子間相互作用を拡張した新規有機エレクトロニクス材料の開発につながると期待される。 一方、本質的な自己修復特性と伸縮性を両立する半導体高分子材料の創成を指向し、代表的なp型半導体高分子材料のポリ(3-ヘキシルチオフェン)(P3HT)と自己修復性を示すことが報告されているメタクリル酸メチル(MMA)とアクリル酸n-ブチル(nBA)とからなるランダム共重合体により構成される新規ブロック共重合体のP3HT-b-(PMMA-r-PnBA)の合成にも成功した。得られたポリマー薄膜の自己修復性の調査の結果、クロロホルムを用いた溶媒・熱アニーリングを行った場合に部分的な自己修復性を示すことが明らかになった。 また、約8か月間の渡米・スタンフォード大での国際共同研究の推進により、自己修復機能をねらった強い水素結合をもつウレア基とジケトピロロピロール骨格を有する新規p型半導体高分子材料の開発に成功した。得られたポリマーのFT-IR、UV-vis-NIR、及びDSC測定により、効率的な水素結合の形成による強い分子間相互作用が働いていることが分った。 さらに、腕ポリマーの鎖末端に官能基(水酸基)をもつ新規の6本腕星型P3HTの合成検討を行った。アジド-アルキン間のクリック反応を利用することで、腕ポリマー鎖が効率的にコア化合物に結合し、目的のスターポリマーが得られていることが示唆される結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
我が国では、超少子高齢化社会に向け、遠隔医療や遠隔診断のためのデジタル化・オンライン化を推進する必要がある。本研究では、上記技術の革新に資する「有機半導体の伸縮化と自己修復化」に焦点を当て、採択課題の「シーケンス制御ブロック共重合体群の創成と伸縮性有機薄膜トランジスタへの応用」(基盤研究B、課題番号21H02009 @2021.4~2024.3)に関する研究を発展させることを目的とした。実際に、採択課題(21H02009)で開発したアプローチにより、分子間で3次元方向に働くファンデルワールス力に基づく自己組織化機能を持つポリマー鎖を導入した新規ブロック共重合体のP3HT-b-(PMMA-r-PnBA)の開発に成功し、その部分的な自己修復性を確認することができた。また、約8か月間の渡米・スタンフォード大での国際共同研究の推進により、水素結合の3次元トポロジー制御を導入した新しいアプローチを取り入れ、より高効率な電子特性が期待される新規ウレア・ジケトピロロピロール含有p型半導体高分子材料の開発に成功したことより、当初の計画以上に進展していると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、半導体高分子鎖をもつシーケンス制御・分岐高分子の合成、3次元のトポロジー制御、諸特性評価、有機エレクトロニクス特性評価、及び自己修復性評価を行う。具体的には、特に下記に注力して研究を推進する。
(1)半導体高分子鎖含有ブロック共重合体材料(P3HT-b-(PMMA-r-PnBA)等)のスケールアップと電子特性の評価 (2)ウレア基とジケトピロロピロール骨格を有するp型半導体高分子材料のスケールアップと電子特性の評価 (3)腕ポリマー鎖末端に官能基を有する6本腕星型P3HTの単離及び自己修復性ユニットの導入検討
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