2023 Fiscal Year Research-status Report
ゲノミクスと果実フェノミクスに基づく倍数体果樹育種の新展開
Project/Area Number |
21KK0269
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西山 総一郎 京都大学, 農学研究科, 助教 (50827566)
|
Project Period (FY) |
2022 – 2024
|
Keywords | 果樹 / 育種 / 倍数性 / 機械学習 / ゲノミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は多様な形質を示すカキ属を中心とする倍数性果樹のゲノム・果実生理・育種に関する国際共同研究である。この枠組みの中で、研究代表者は2022年9月から2023年9月までアメリカのカリフォルニア大学デービス校に長期滞在し研究を行った。本年度は主に以下の3点の成果を得た。 1. 前年度までに構築した果実の高精度三次元モデリング法を活用し、カキ果実の組織別発達を測定するための手法開発、実験、データ収集を行った。従来から言及されていた「カキの果実発達はへた側の生長がより旺盛である」という発達パターンについて、再現可能な計測手法を用いて観察することができた。また、京都大学の多様なカキ遺伝資源について成熟時の果実3Dモデルを収集した。 2. カキの近縁二倍体種であるアブラガキの遺伝資源について、一部の果実形状特性については、倍数体栽培カキと同等程度の多様性が認められることを確認した。アブラガキを収集する中国林科院を訪れ、今後の調査方針について議論を行った。 3. DETR (Detection Transformer) を改変することで、樹体の形状計測を可能とする新たな手法を開発した。アメリカのワイン用ブドウ圃場をモデルとして用い、大規模な画像データを高精度位置情報と紐づけて収集した。訓練した樹形計測機械学習モデルに高精度位置情報を用いることで、圃場中の樹の栄養生長量をモデル化できることが確認できた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
現在までにアメリカと中国での予定していた滞在を終え、その中で成果を得ることができた。特にフェノタイピングとリモートセンシングについては、当初の計画を超えて、新たな展開が期待できる果実3Dモデリングや樹形計測等の手法を開発することができた。果実発達をゲノム情報と紐づけるためのデータ収集も大半が既に完了している。当初計画にあり未完了の育種・進化解析と樹形計測手法の倍数体果樹への適用を中心に、残りの研究期間で解析を進める予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでに当初予定していた海外滞在と、ほとんどの当初研究計画および予算執行を既に終えている。今年度は日本でのデータ収集とデータ解析を中心に進める予定である。これまでに収集した多様な品種のカキ果実の3Dモデルを用いて、集団遺伝学的解析を行う。また、溝形状を制御する因子の候補として特定したYABBYの分子機能評価に着手する。さらに、これまでに同定したPA蓄積等重要形質を制御する因子について、進化過程を解析する。また、これまでに確立した樹形計測手法を活用し、樹形と果実品質を関連づける解析の方法論を確立する。
|