2022 Fiscal Year Research-status Report
脳腸相関からみた抑制型転写共役因子の自閉症スペクトラム障害発症メカニズムの解明
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21KK0274
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
天野 出月 群馬大学, 大学院医学系研究科, 講師 (10765275)
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Project Period (FY) |
2022 – 2024
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Keywords | 転写抑制型共役因子 / 自閉症スペクトラム障害 / NCoR1 / SMRT / 腸脳相関 |
Outline of Annual Research Achievements |
発達障害の発症率の増加が近年、世界的に深刻な社会的問題となっている。これまでの研究により、発達障害の発症要因として遺伝的素因や環境要因など様々な原因が明らかになってきた。様々な原因遺伝子が注目される中で、近年その遺伝子の一つとして転写抑制型共役因子(NCoRs)が報告されている。しかし、転写抑制型共役因子の中枢神経系における生理学的役割は不明である。そこで我々は神経細胞特異的に転写抑制型共役因子であるNCoR1/SMRTを欠失させたマウスを作出した。このマウスの解析を行ったところ、本ノックアウトマウスは発達障害の一つである自閉症スペクトラム障害(ASD)に類似した社会行動異常を伴った表現型を示すことが明らかになった。その一方でこの発見は、近年になって報告されている転写抑制型共役因子の異常を原因とした発達障害の症例報告と比べると軽度であり、中枢神経系以外の要因も示唆された。そこで、発達障害との関連性が注目されている腸脳相関に着目した。まず、腸管における転写抑制型共役因子の生理学的役割についてはこれまでヒストン脱アセチル化酵素3(HDAC3)などに注目した報告が散見されるのみで、未だ不明な点が多い。そこで本研究計画ではNCoR1/SMRTを腸上皮細胞特異的に欠失させたマウスを作製し、その生理学的役割を明らかにすることとする。その後、腸内環境の変化がどのように神経機能へ影響をもたらすのかを調べることとする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定通り、米国Boston Universityに渡米し研究を開始している。 その一方で、渡航先の研究室の異動や、渡航先研究機関内での研究執行に関する承認に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き転写抑制型共役因子(NCoRs)ノックアウトマウスの作成を行っていくとともに、既存の転写抑制型共役因子(NCoRs)ノックアウトマウスから既に採取した組織を用いて解析を行っていく。
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