2023 Fiscal Year Research-status Report
長期的な医療ビッグデータを用いた死亡前まで繰り返される入院の実態把握と要因解明
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21KK0282
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
光武 誠吾 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (10520992)
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Project Period (FY) |
2022 – 2024
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Keywords | 再入院 / ビッグデータ / 移行期ケア / 退院支援 / リハビリテーション / 大腿骨頸部骨折 / トラジェクトリー解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
豪州・NSW州(ニューサウスウェールズ州、65歳以上人口約130万人(全人口約800万人))における全病院の入院データ(2014~2021年:8年分)を活用し、大腿骨頸部骨折後の入院におけるフレイルリスク(Hospital Frailty Risk Score: ICD-10から特定)が低い者より高い者の方が、退院後の骨折による再入院と死亡リスクが高いことを示した。自動的に集約される入院データから算出できるフレイルリスクを用いて、大腿骨頸部骨折後の骨折による再入院や死亡のリスクが高い者を特定できる可能性を示した(論文:Mitsutake S et al. Arch Gerontol Geriatr. 2023; 117: 105264.; 学会発表番号1:Mitsutake S, et al. 56th Australian Association of Gerontology Conference, Gold coast, Queensland, Australia, 14-17 Nov 2023.)
大腿骨頸部骨折後の全入院患者では、入院後5年間で予防可能な入院の回数が多い群、中等度群、少ない群に分かれることを示した。少ない群に比べると、多い群と中等度群では併存疾患数が多い、COPDや心不全の有病、フレイルリスクが高いという特徴が認められた。これらの特徴を持つ入院患者は、再入院の予防策(移行期ケアプログラム等)を優先的に提供するターゲットであることを示した。成果は国際雑誌にて査読中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
日本での臨床経験から、入退院を繰り返す者は特に施設入所者で多く、病院と施設間の切れ目のないケアのあり方を検討する重要性を強く感じてきたが、施設入所者の繰り返される予防可能な入院の実態に関する科学的根拠は不十分である。本研究を進める中で共同研究者らと、施設ケアと在宅ケアでは予防可能な入院の対象疾患や病院との連携のあり方も異なるため、施設入所者と地域在住者を分けて分析する必要があるという議論になったが、8年分データでは施設入所者数が不十分で分析に至らなかった。 そこで、共同研究者が最新データ(2022年~2023年5月)を入手し、報告者もデータを使えるように手続きを進めた結果、2023年12月より、報告者が最新データを含めた10年分の入院データを活用できることになった。データクリーニング作業を終え、分析に着手し始めた。
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Strategy for Future Research Activity |
クリーニングを終えた10年分の豪州・NSW州における全病院の入院データを用いて、施設入所者の再入院に関連する要因の解明や、コロナ禍の行動制限が大腿骨頸部骨折による入院に与えた影響について検証を進めていく。
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Research Products
(3 results)