2022 Fiscal Year Research-status Report
Therapeutic strategy for pancreatic cancer based on molecular circuitry governing skeletal muscle wasting and cachexia
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21KK0283
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
佐藤 裕基 旭川医科大学, 医学部, 客員助教 (20747373)
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Project Period (FY) |
2022 – 2024
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Keywords | 膵癌 / サルコペニア / PDXモデル / 骨格筋 / 液性因子 / 悪性腫瘍 / Exome解析 / Transcriptome解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は2022年11月23日よりマサチューセッツ総合病院 Pancreatic biology laboratory(以下、MGH)に在籍し、PDX(Patient-Derived Xenograft)マウスモデルを用いた骨格筋解析を開始した。本モデルでは、膵癌の新鮮外科切除材料を免疫不全マウスへ皮下移植し、その遺伝子変異・発現を網羅解析した。また、生着した腫瘍片から初代細胞を樹立して機能解析を行い、腫瘍側の因子についての詳細な解析を行っている。これらの結果をもとに、膵癌による骨格筋量低下を改善させる新規治療ターゲットを選定し、初代細胞と筋芽細胞の共培養実験と、PDXマウスモデルへの治療薬投与による治療効果を検討している。 現在臨床応用されている抗癌剤や前臨床段階の抗腫瘍薬を複数のPDXモデルに投与し、腫瘍量の経時的変化に観察するとともに、エンドポイント時点で腫瘍、血清と骨格筋を採取している。腫瘍は、新鮮検体を用いてExomeならびにTranscriptome解析の試料とした(一部はSingle cell RNA-seqも行う)。骨格筋は遺伝子解析用と組織解析用にそれぞれ十分量の検体を保管している。 また、エンドポイント時点で複数のPDXから新たに複数の初代細胞を樹立し、現在、共培養実験系の再現性を検証するために継代・拡大を行っている。 これらのマウスの生育および実験は、研究者代表者が主体となって管理し、腫瘍増殖、血清中の液性因子と骨格筋量ならびに組織学的所見との関連について解析を進めている。 基課題(研究課題/領域番号; 19K17480)では治療ターゲットとなる液性因子について、マウス膵癌細胞株を用いたIn vitro実験を行った。この液性因子の発現をノックダウンすることで有意に筋芽細胞の分化抑制を解除することが示され、現在データのまとめと並行して論文を執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者が渡航する以前より、複数のPDXマウスモデルが準備されており、まずPDXマウスモデルを用いた実験を先行した。研究室の主任研究者の理解を得て、共同研究先の実験リソースを有効に活用し、血清や骨格筋の採取を行うことができた。すでに一部のPDXマウスモデルでは、非治療群に比し治療群において有意に骨格筋量が改善する結果を得た。 エンドポイント時点で腫瘍を摘出し、その網羅的遺伝子発現解析を行っており、今後樹立される初代細胞を用いた実験を行う上で貴重なデータになると考えられる。現在、数モデルにおいて、網羅的遺伝子発現解析の結果が得られている。今後、これらのデータを詳細に解析し、新規治療ターゲットの絞り込みを行う。 2022年度には治療候補となるPDXモデルから初代細胞株の樹立ができなかったため、共培養実験の開始には至らなかった。腫瘍摘出後のTissue digestionの条件を最適化することで、細胞樹立の見通しが付きつつある。現在、継代・拡大に時間を要しているが、筋芽細胞の分化抑制の確認とこれを解除する治療ターゲットについて、上記網羅的遺伝子発現解析結果を参照しながら、検討を進めている。細胞株が樹立でき次第、初代細胞株と筋芽細胞の共培養実験を開始する予定であり、研究室内外の共同研究者の協力を得ながら実験計画を立案中である。 時間的には渡航後4ヶ月程度で初期のデータを収集できた。特にPDXマウスモデルを用いた実験は想定よりも進捗しており、計画としては概ね順調と考えられる。基課題についても最終的な確認実験が終了しつつあり、MGHでの実験と合わせて、膵癌に伴う骨格筋量低下の新しい治療ターゲットについて日本、米国双方の研究者の協力を得て探索を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、骨格筋と腫瘍、血清の採取が2~3種類のPDXモデルで概ね終了した段階であり、網羅的遺伝子発現解析の結果を参照し、採取した組織を用いた免疫染色やTUNEL染色を行う。Single cell RNA-シーケンスの結果も参照し、腫瘍細胞・間質双方から骨格筋量低下の治療ターゲットとなりうる因子を同定する予定である。これまでの共同研究のデータから、腫瘍、間質にはそれぞれ異なる治療薬がターゲットとなることが示されており、このような「治療モデル」においてどのように骨格筋量が変化するか、経時的に観察する。すでに複数のPDXモデルの生育を開始しており、複数の抗腫瘍薬を用いた治療実験を行う予定である。これにより、異なる腫瘍・間質サブタイプに応じた腫瘍量(腫瘍の変化)と骨格筋との関連が明らかになることを期待している。 同時に、「真の対照群」となるマウス(同週齢、同ケージで飼育し、腫瘍を移植していないマウス)が必要であり、来年度以降にこの「真の対照群」を実験に盛り込むことを予定する。 また来年度から、骨格筋と腫瘍という遠隔臓器の関連について、マウスより採取した血清を用い、ELISAなどで検討する予定である。 In vitro実験では、細胞株の樹立が完了次第、この細胞を用いて共培養実験を行い、筋芽細胞の分化抑制を確認する。その後、基課題で同定した治療ターゲットとなる液性因子の阻害薬などを用いて、この分化抑制が解除されるか検討を行う。旭川医科大学(所属研究室)と共同研究機関との試料提供契約を通じて、細胞株を用いた実験については旭川医科大学で一部を行う予定である。In vivo、In vitroの解析結果について双方でデータを共有し、随時ディスカッションを継続する。 基課題は令和4年で終了となるが、さらに発展的な内容を盛り込み、国内では特に骨格筋代謝と膵癌との関連を解明する研究を遂行する。
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Research Products
(15 results)
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[Journal Article] Endoscopic duodenal stent placement versus gastrojejunostomy for unresectable pancreatic cancer patients with duodenal stenosis before introduction of initial chemotherapy (GASPACHO study): a multicenter retrospective study.2022
Author(s)
Azemoto N, Ueno M, Yanagimoto H, Mizuno N, Kawamoto Y, Maruki Y, Watanabe K, Suzuki R, Kaneko J, Hisada Y, Sato H, Kobayashi S, Miyata H, Furukawa M, Mizukami T, Miwa H, Ohno Y, Tsuji K, Tsujimoto A, Nagano H, Okuyama H, Asagi A, Okano N, Ishii H, Morizane C, Ikeda M, Furuse J
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Journal Title
Jpn J Clin Oncol.
Volume: 52(2)
Pages: 134-142
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Prognostic factors to predict the survival in patients with advanced gastric cancer who receive later‐line nivolumab monotherapy?The Asahikawa Gastric Cancer Cohort Study (AGCC)2022
Author(s)
Tanaka K, Tanabe H, Sato H, Ishikawa C, Goto M, Yanagida N, Akabane H, Yokohama S, Hasegawa K, Kitano Y, Sugiyama Y, Uehara K, Kobayashi Y, Murakami Y, Kunogi T, Sasaki T, Takahashi K, Ando K, Ueno N, Kashima S, Moriichi K, Sato K, Yuzawa S, Tanino M, Taruiishi M, Sumi Y, Mizukami Y, Fujiya M, Okumura T.
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Journal Title
Cancer Medicine
Volume: 11
Pages: 406~416
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Mutant GNAS limits tumor aggressiveness in established pancreatic cancer via antagonizing the KRAS-pathway2022
Author(s)
Kawabata H, Ono Y, Tamamura N, Oyama K, Ueda J, Sato H, Takahashi K, Taniue K, Okada T, Fujibayashi S, Hayashi A, Goto T, Enomoto K, Konishi H, Fujiya M, Miyakawa K, Tanino M, Nishikawa Y, Koga D, Watanabe T, Maeda C, Karasaki H, Liss AS, Mizukami Y, Okumura T
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Journal Title
Journal of Gastroenterology
Volume: 57
Pages: 208~220
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Concepts and Outcomes of Perioperative Therapy in Stage IA-III Pancreatic Cancer?A Cross-Validation of the National Cancer Database (NCDB) and the German Cancer Registry Group of the Society of German Tumor Centers (GCRG/ADT)2022
Author(s)
Bolm L, Zemskov S, Zeller M, Baba T, Roldan J, Harrison JM, Petruch N, Sato H, Petrova E, Lapshyn H, Braun R, Honselmann KC, Hummel R, Dronov O, Kirichenko AV, Klinkhammer-Schalke M, Kleihues-van Tol K, Zeissig SR, Rades D, Keck T, Fernandez-Del Castillo C, Wellner UF, Wegner RE
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Journal Title
Cancers
Volume: 14
Pages: 868~868
DOI
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[Presentation] Tumor-suppressive effect of mutant GNAS through the restriction of tumor aggressiveness in established pancreatic cancer2022
Author(s)
Hidemasa Kawabata, Yusuke Ono, Nobue Tamamura, Hiroki Sato, Kenji Takahashi, Kenzui Taniue, Tetsuhiro Okada, Syugo Fujibayashi, Akihiro Hayashi, Takuma Goto, Hiroaki Konishi, Mikihiro Fujiya, Hidenori Karasaki, Andrew S. Liss, Yusuke Mizukami, Toshikatsu Okumura
Organizer
DDW2022/AGA2022
Int'l Joint Research
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[Presentation] Mutant GNAS limits tumor aggressiveness in established pancreatic cancer via antagonizing the KRAS-pathway2022
Author(s)
Hidemasa Kawabata, Yusuke Ono, Hiroki Sato, Kenji Takahashi, Tetsuhiro Okada, Syugo Fujibayashi, Akihiro Hayashi, Takuma Goto, Mikihiro Fujiya, Yusuke Mizukami, Toshiktsu Okumura.
Organizer
2022IAP&JSP meeting
Int'l Joint Research
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