2010 Fiscal Year Annual Research Report
MEG実験―レプトンフレーバーの破れから大統一理論へ
Project/Area Number |
22000004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Specially Promoted Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森 俊則 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 教授 (90220011)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三原 智 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (80292837)
大谷 航 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 准教授 (30311335)
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Keywords | 素粒子実験 / 国際協力 / ミュー粒子 / 超対称性 / 大統一理論 |
Research Abstract |
平成22年度はまずμ→eγ崩壊探索データ取得に向け検出器改良および較正作業が行われた。前年度の探索実験で問題が判明していた一部のドリフトチェンバーモジュールの改良、波形デジタイザ時間精度の向上、ミュー粒子停止分布の改善などを実現したことにより、22年9月から非常に安定した効率の高いデータ取得を開始することができた。11月初めにビームラインの超伝導電磁石の一つが故障したため本年度の探索データ取得は中途終了を余儀なくされたものの、最終的には前年度のほぼ二倍のデータ統計量を取得することができた。また並行して前年度に取得した探索データの解析が精力的に行われ、その暫定的な解析結果が7月のICHEP国際会議で発表され国際的に高い評価を得た。その後解析アルゴリズムに改良が加えられ、主要な系統誤差を低減、陽電子の測定分解能を大きく改善することに成功した。これによりこれまでの崩壊分岐比上限値記録を3倍近く上回る前人未踏の探索感度を実現した。 また、将来の究極感度の探索実験の実現に向けた研究開発も進められた。実験の感度を大きく左右する液体キセノン検出器の性能向上を目指し、高量子効率光電子増倍管、新型半導体光センサーPPDなどの光センサーの開発が行われ、PPDについては液体キセノンシンチレーション光の検出に初めて成功した。また高計数率、高分解能の陽電子スペクトロメータプロトタイプの設計作業も開始した。 なお超伝導電磁石の故障により、12月に予定されていた検出器較正作業は翌23年度に繰り越されたが、探索実験終了後故障原因調査、修理が順調に行われ、PSI研究所加速器稼働再開後23年4-5月に検出器較正作業は無事終了、6-8月取得したデータの解析が行われた。研究成果について関連研究者と議論する予定であった23年3月の研究会は、3月11日に発生した地震の影響により4月にPSI研究所において開催されることとなり、その後最終結果を9月の日本物理学会で報告、研究成果の取りまとめを行った。
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Research Products
(26 results)