2010 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質抑制性ニューロン皮質内分布とシナプス結合決定のメカニズム
Project/Area Number |
22220004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (S)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村上 富士夫 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 教授 (20089882)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宋 文杰 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 教授 (90216573)
田辺 康人 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 准教授 (10311309)
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Keywords | 分子・細胞神経科学 / 神経細胞移動 / in vivoイメージング / 抑制性介在ニューロ / 大脳皮質 |
Research Abstract |
脳の神経回路が正しく構築されるためには、産生された神経細胞が、定められた場所まで正しく移動することが必要である。大脳皮質の抑制性介在ニューロン(以下介在ニューロンと記す)は、形態学的にも、分子学的にも、電気生理学的にも多様であり、高次機能の発現に重要と考えられている。このニューロンは、内側基底核隆起で産生され、大脳皮質に向かって接線方向に移動する。その後辺縁帯で接線方向に長時間移動する(Tanaka et al., Development. 133, 2167)。その後短い突起を伸縮させながらウニのような形態を経て軸索を伸展させる。(Yamasaki et al., J Neurosci. 30, 15221)。これらから以下の2つの可能性を考えられる。1)双極性の移動細胞が一旦多極性へ形態を変化させて、皮質板に移動する可能性、2)双極性の形態をしたまま移動を続け、皮質板に移動する可能性。そこで本研究は上記の何れが正しいかを知るために、辺縁帯から皮質板に移動する時期での動態および形態を観察した。 実験にはマウスを用い、介在ニューロンが多く産生される胎生12.5日目において、子宮内電気穿孔法を用いて緑色蛍光タンパク質をコードするプラスミド遺伝子を内側基底核原器に導入した。その後、辺縁帯に集積した標識細胞が移動を終える時期とされる胎生18.5日目から12時間以上のタイムラプス観察を行った。辺縁帯において、胎生12.5日目に生まれた介在ニューロンは移動する細胞もあれば、そうでない細胞も存在した。また、移動する細胞の形態の多くが双極性であり、移動しない細胞の形態の多くは多極性であった。また、移動形態を維持したまま皮質板に移動するような細胞と多極性のまま皮質板に移動する細胞が観察されたが、視野から消える細胞の多くが双極性の形態を維持させたまま移動する細胞であった。以上の結果は、辺縁帯で双極性の形態で移動している細胞が皮質板に向かって、形態を維持しながら移動するという可能性を支持するものとなった。
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Research Products
(2 results)