2011 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質抑制性ニューロン皮質内分布とシナプス結合決定のメカニズム
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22220004
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村上 富士夫 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (20089882)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宋 文杰 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 教授 (90216573)
田辺 康人 大阪大学, 生命機能研究科, 准教授 (10311309)
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Keywords | 皮質板 / 放射状グリア細胞 / 皮質板 |
Research Abstract |
介在ニューロンは大脳基底核原基 (GE)に由来するが、その誕生後接線方向への移動によって新皮質に到達する。最近の我々の研究により、これらのニューロンが、その後皮質板を通り抜けて辺縁帯(MZ)に移動し、MZに到達後は接線面で全ての方向に移動することが明らかになった(Tanaka et al., 2003:2006)。またこれらの細胞のMZでの滞留は2日間にも及び、その間ランダムウォーク様の動きをしながら皮質全体に拡がっていく。 その後辺縁帯で全方向に向かう移動を行った皮質抑制性介在ニューロンは皮質板へ下降すると考えらるが、それがどのようにして起こるのかを明らかにするために、1)皮質板への下降が起こると思われるマウスが生まれる前後でタイプラプス解析を行った。また2)下降の際の基質を明らかにするために抗ネスチン抗体を用いてその候補の一つである放射状グリア細胞の染色を行った。前者の研究では,皮質板での動きが止まった後に下降するわけではなく、接線方向に移動しながら下降していく像を捉えることが出来た。又2)に関しては固定標本の観察の結果、皮質板に下降していると思われる皮質抑制性介在ニューロンと放射状グリア細胞の突起とが蜜に接触している像を観察することは出来なかった。これらの結果は皮質抑制性介在ニューロンが皮質板に下降する際は必ずしも放射状グリア細胞に沿って下降する訳ではないことを意味している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的にあった、辺縁帶から皮質板への下降の動態を捉えることができ、またそれがどのような様式で起こるかを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後解決していく必要がある問題として、MZに存在する介在ニューロンの特異的標識がある。これまでの我々の研究により、MGE由来の細胞の多くは 中間帯/脳室下帯(IZ/SVZ)から一旦MZに移動した後にCPに降りてくるものと思われる。しかしながら、IZ/SVZから直接CPに上がっていく介在ニューロンの存在も否定出来ない。したがって、MZからCPへの下降を捉えるためには、MZに存在する介在ニューロンを同定する必要がある。そこで 我々は紫外線照射によって蛍光色が変化するKaedeまたKikume Green-Redのプラスミドを子宮内電気穿孔法で導入し、数日後に頭蓋の外から紫外線を当てることでMZの細胞の蛍光色の転換(緑から赤への)を試みた。その結果、蛍光色を転換させることには成功したが、蛍光色の変化はMZのニューロンに限局されず、より深部の介在ニューロンも赤色の蛍光を発するようになった。これは胎仔の脳の透明度が高いため、恐らく外部から当てた紫外線が脳の深部まで到達してしまったことによるものと思われるが、今後MZだけで蛍光色の転換が起こせる条件を見いだす必要がある。
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Research Products
(12 results)