2011 Fiscal Year Annual Research Report
半導体光増幅素子を用いた革新的次世代PET技術の開発実証
Project/Area Number |
22220010
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
片岡 淳 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (90334507)
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Keywords | 画像診断システム / 検査・診断システム / PET / 光半導体増幅素子 / MPPC |
Research Abstract |
要素技術から応用面で大きな進展が得られた。まず、古河機械金属と共同で発光量が高く内在バックグラウンドの少ない新規Ce:GAGG結晶の開発に成功し、PET利用へ向けた実証を進めた。Ce:GAGGはMPPCと併せて放射線サーベイメータに利用され、「ガンマスポッター」として市販化されている。屋外での利用を想定し、-50℃から+30℃の広い範囲でMPPCの増幅率を自動温度補償する新たな技術を開発した【特願2011-231544】。浜松ホトニクス社の協力を得て4x4chの3面バッタブルかつモノリシックMPPCアレーの開発に成功し、上記シンチレータと組み合わせて超高解像度ガンマカメラを製作した。対向2ユニットからなるピンセット型小型PETカメラを開発し、実測の解像度として1ミリを達成した。本カメラは小型のため手術中でも触診察可能で、将来はリアルタイムPET装置として有望視されている、従未PETで問題視されていた視野端での画像歪みを防ぐため、シンチレータ内でのガンマ線の吸収位置(Depth of Interaction)を簡便かつ正確に測定する新しい手法を開発した【特願2011-289480】。この手法を用いれば、10-15ミリ各程度のシンチレータ・アレーのブロックを上下2枚のMPPCアレーで挟み込むだけで、3次元すべての方向に1ミリ程度の解像度を容易に達成することができる。小動物用や頭部用の小型ガントリへの適用はもちろん、将来的には高感度の環境ガンマ線カメラとして応用が期待できる。最後に、将来のTOF-PET実現にむけ、MPPCに特化したアナログLSIを独自開発し、MPPCセンサーと併せて時間分解能491ps(FWHM)を達成した。平成24年度はMPPCアレーと併せたより本格的なTOF-PETへの適用を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたピンセットカメラとそれに伴う技術開発(微細シンチレータ・MPPCアレー・読み出し回路)はすべて終了し、またTOF用高速LSI(ver.1)の開発も終了した。この時点で予定項目はすべてクリアしているが、このほかに平成23年度はDOI測定技術の劇的な進展があり、また、福島原発事故を受けた各種サーベイメータ、ガンマカメラへの応用可能性まで検討するなど、非常に進展が多い年度であった。
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Strategy for Future Research Activity |
申請書に記載した通り、次世代PET開発の鍵となる技術として(1)DOI測定(2)TOF測定(3)MRIとの共存(強磁場中での動作)が挙げられる。既にDOI,TOFについては本年度に大きな進展が得られ、とくにDOIについては当初考えていたコンセプトより遥かに簡単で高性能な装置が実現できる見込みが立った。TOFも超高速LSIの開発で大きく前進したが、時間情報をイメージ再構成に取り込む具体的手法などは今後の検討課題である。来年度以降は8ユニットからなるガントリを開発し、MRIで想定される強磁場中での動作確認も含め、より実践的なシステムでの検討を行いたい。
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