2013 Fiscal Year Annual Research Report
半導体光増幅素子を用いた革新的次世代PET技術の開発実証
Project/Area Number |
22220010
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
片岡 淳 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (90334507)
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Project Period (FY) |
2010-05-31 – 2015-03-31
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Keywords | 次世代PET技術 / 画像診断システム / 光半導体増幅素子 / MPPC |
Research Abstract |
本年度は基盤研究(S)の集大成に向け、要素技術の確立のほかシステムレベルとしても大きな進展が見られた。まず、3次元検出器については2mm厚5層からなるCe:GAGGシンチレータ2ブロックを対向した試験を行い、DOI情報を用いることで、確かに視野端での解像度が向上することを確認した。一方で、センサーの厚みが不十分であったため、3mm厚7層からなる3次元ブロック8ユニットを再度製作し、来年度の統合試験に備える。MRI-PET については 8ユニットからなる樹脂製ガントリを製作し、4.7Tの小動物用MRIと併用することでPET画像, MRI画像双方への影響を調べた。ノイズの極めて少ない良好な画像が得られ、結果については現在投稿論文を準備中である。9月にイギリスで開催されるイメージング検出器国際会議 Position Sensitive Detector 10において発表を行う。最後に、時間情報を用いたTOF-PET 開発については、16ch のセンサーを2ユニット対向させ、独自開発のLSIと統合した試験を行った。これまで、ノイズの影響や各チャンネルごとのゲインのバラつき、オフセット等で 500 psec (FWHM) を切ることが難しかったが、本年度は (1)イメージ情報を用いてヒットしたピクセルIDを同定する (2) ピクセルに合わせたオフセット補正をかける手法をとることで、最も優れたチャンネルでは約 400 psec (FWHM)、16ch 同士の加算でも 489 psec(FWHM)の優れた時間分解能を得ることに成功した。これらについては、6月に米国ミシガン大学で行われる検出器国際会議 SORMA XV で発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたコンポーネントレベルの開発はほぼ終了し、とくにMRI-PETについては既に8ユニットからなるガントリを構築、もっとも過酷な環境と云える4.7Tの小動物用MRI(gradient echo, spin echo)全ての試験においても良好な結果を得ることができた。DOI-PET, TOF-PET についても2ユニットを用いた対向試験で「解像度 1mm (FWHM)程度、時間分解能 500ps (FWHM)程度」の目的とした性能を正しく実現できることを確認した。一方で、開発が加速すると最終的に MRI, DOI, TOF を「全て」統合した次世代PET ガントリを構築したいという希望が高まり、来年度の集大成を目指して開発を加速しつつある。全統合PETセンサーの開発は、本来の基盤研究(S)における計画を超えた進捗であるが、予算的にもそれほど無理でないことが分かり、平成26年度には可能な範囲でセンサーを拡張し、実機とシミュレーションの双方から評価したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、本年度までに開発したDOI, TOF-PET 要素技術をシステムレベルに拡張する(MRI-PETについては実施済み)。DOI 技術については、センサー部分(Ce:GAGG)8ユニットは既に開発済みである。これらを用いて、まず3次元位置情報の正確なキャリブレーションを行う。一方で、センサーを挟む上下2面のMPPCからの信号を処理するデータ処理ボード、ウェイト・サム基板が新たに必要となり、夏ごろまでに早急な設計・開発を進める。TOFについてはH24年度に製作したPET データ処理システムに、本研究で開発したLSIから出力される時間情報(TOF情報)を挿入し、ヒストグラム化すると部分が課題である。まずは2ユニットの簡易システムで試験する。これらが終了後、樹脂製ケースを新たに製作し、8ユニットのDOI-PETセンサーからなるガントリを製作、MRIとの併用を測る。また、少なくとも2ユニットについては時間情報を出力し、TOF 情報の取得も試みる。問題なく進めば、世界初となる DOI-TOF-MRI 統合PET プロトタイプが完成すると期待される。
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