2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22223002
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
増山 幹高 政策研究大学院大学, 政策研究科, 客員教授 (50317616)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川人 貞史 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (10133688)
待鳥 聡史 京都大学, 公共政策連携研究部, 教授 (40283709)
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Project Period (FY) |
2010-05-31 – 2015-03-31
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Keywords | 政治 / 政策 / 情報 / 立法 / 行政 |
Research Abstract |
本研究課題では,政策情報供給の効果を検証するとともに,立法府の政策情報公開を促進し,政府に関する情報公開の包括化を図っていく.また,立法府の政策情報を英文でも公開・発信し,わが国の立法に関する国際的な理解・研究の基盤を提供するとともに,政策的知識やIT・言語能力に制約されない電子化情報の公開方法を試行し,政策情報公開のユニバーサル化を目指す.平成24年度においては以下を実施した. 1.情報公開の効果検証 本研究課題では,情報公開制度の集計的な利用状況ではなく,開示請求の目的と請求された情報内容の関連性を解明していく.自治体を対象とした情報公開開示請求データベースを構築し,開示請求案件の入出力をインターネット上で行うプログラムを改善した.また,日本公共政策学会研究大会にて論文を報告し,情報公開制度を通じた行政情報を自治体間で共有し,広く一般市民も活用できるようにする本研究の取り組みを紹介した. 2.立法情報のデータベース化 国会審議映像検索システムについては2012年3月に運用を開始し, 5月の日本選挙学会では国会審議映像の検索・再生実演を行った.2012年11月から一般公開を開始した. 3.比較立法情報・英文データ化 フィンランド議会,スペイン議会における立法情報の公開状況について調査し,国際図書館連盟年次大会,国際政治学会に参加した.また,国際的データベース開発プロジェクトの一環として,日本の閣僚に関するデータを整備し,分析結果をまとめた論考をプロジェクトの論文集に寄稿した. 4.情報公開のユニバーサル化 初年度に開設した本研究課題のウェブサイトを拡張し,立法情報の統合ポータルサイトとして運用を開始した.また,国会審議映像のURLを発信出来るツイッターやフェイスブックといったSNSの機能を追加し,インターネット上で国会審議を報道する新たな方法を試行している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
情報開示請求データベースシステムの開発においては,自治体の情報開示請求案件の内容をデータベース化し,自治体間の比較を可能にした.また,請求内容をテキストデータとして用いることで,自治体毎の特徴を視覚的に把握することも可能にしている.本年度も計画通り,情報公開制度の効率的運用と利便性向上への貢献を目指して,引き続き改良を重ねていく. 国会審議映像検索システムの開発においては,審議映像を音声認識によって議事録と同期させ,映像を発言内容のキーワード検索で部分再生するという世界初の試みに成功しており,一般公開も行った.国会図書館の提供する会議録検索システムと,衆参両院がインターネットで配信する審議映像とを関連づけて統合的に公開するものであり,国会関連組織間に横たわる制度的な溝を架橋する取組みとして成果をあげている.また,映像に字幕を付すことで,聴覚障害者の国会審議映像利用を可能にした点や,発言の瞬間をURLとして表現し,SNSによるインターネット上での共有を容易にするなど,国会審議映像の多様な利用方法を触発するだけでなく,動画一般の利用方法にも変革をもたらすことが予想される. 他方で,欧州政治研究学会の国際プロジェクトの日本担当として,政治指導者のデータベース開発にも参画してきており,本年度着手予定の立法情報の英文化システムの開発と合わせて,わが国の政策的現状の国際的な理解・研究を促進している. さらに,社団法人政府資料等普及調査会は府省庁の報告書等の政策関連資料を40年以上にわたって収集しているが,本研究では,当初の計画に追加して,その30万点に及ぶ資料の保管と政府資料データベースの維持を引き継ぎ,本年度は所蔵資料の書誌情報を総合的にデータベース化し,所蔵資料の全体像を明らかにするとともに,紙媒体資料を電子化し,インターネット上で一般に公開する方策を検討していく.
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Strategy for Future Research Activity |
情報公開の効果検証に関しては,情報開示請求データベースを改善し,対象自治体を拡充しつつ,開示請求目的と政策情報内容の関連性を検証していく.請求内容のテキストデータについては,現時点では,情報開示請求データベースシステムからテキストデータを出力し,その出力ファイルをテキスト分析ソフトウェアで処理するという作業を要するが,一連の作業を情報開示請求データベースシステムで行うプログラム開発を進め,平成25年度内にはデータベースシステムの一般公開を目指す. 国会審議動画検索システムの開発に関しては,平成24年度に着手した文字テキストと動画のタイムスタンプ自動化を一層進め,動画として収録されている審議時間の長短によって異なる処理を行うといった措置を講じていく.今年度は,引き続き自動化プログラムの開発を継続し,かつ,参議院の審議動画も対象として拡張・拡充を進めていく. 審議映像検索システムの開発の進捗状況に応じて,国会の立法情報に関する英文化についても着手する.また,外国議会や国際機関の提供するデータベースおよびインターネットやイントラネットの運用方法についての調査を継続し,政治指導者の国際的データベース開発を目指す欧州政治研究学会のSEDEPEに日本担当として,昨年度に引き続き参画していく. 本研究のウェブサイトを拡充して,上述の各システムを組み込み,立法情報の統合ポータルサイトとして,立法関連情報の統合的な供給体制の構築を目指していく.
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