2011 Fiscal Year Annual Research Report
アジア・太平洋価値観国際比較調査-文化多様体の統計科学的解析
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22223006
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
吉野 諒三 統計数理研究所, 調査科学研究センター, 教授 (60220711)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 隆裕 統計数理研究所, 調査科学研究センター, 准教授 (00270413)
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Keywords | 国際比較 / アジア・太平洋 / 文化多様体解析 / 信頼感 / 統計的標本抽出調査 / お化け調査 / 生きがい / 価値観 |
Research Abstract |
本調査プロジェクトの概要は、以下のとおりである。 1) アジア・太平洋諸国における統計的標本抽出調査(個別訪問面接法)によるデータ収集を遂行する。2) この国際比較データと「日本人の国民性」調査の時系列データを交差させて解析する。3) 収集データと既存の関連調査データを総合的に分析し、空間的・時間的比較の枠組みの中で、日本人の意識構造の安定性と変容を実証的に解明する。最終的に、調査データの一般公開を推進させる。 平成23年度は、特に以下の1)~8)を遂行した。 1) アジア・太平洋諸国の基礎資料の収集・整理を継続するとともに、昨年度遂行した日本調査及び米国調査に関して、作業の遅れのために本年度にずれ込んだデータクリーニングや集計作業、報告書の印刷発刊、国内外への配布作業をした。2)本年度の中国調査(北京、上海、香港、台湾)のために、 国内外の研究者との連携により、昨年度の日米調査票を主体としてトピックの検討と質問項目の検討、確認をした。4) 北京、上海、香港、台湾の調査票に関して、翻訳、バックトランスレーション作業を経て、原案を作成した。その原案を各地において、研究協力者との協議のうえで、適宜、改定し、確定した。 5)北京・上海調査の本調査遂行(11月-12月)。7) 台湾調査の本調査遂行(10月-1月)。香港調査の開始(12月)。8)北京、上海、台湾の各調査については、 データ・クリーニング作業を経て集計と報告書作成の作業遂行し、第一次報告書(速報)をまとめた。報告書の印刷、出版、各方面への送付の作業を進行させた。 (ただし、香港の現地調査において面接調査の遂行の困難のために、調査完了が大きく遅れ、香港調査のデータクリーニングをはじめ、上記の8)の一部、報告書の完成と配布もは、平成24年度の初めにずれ込むこととなった。)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の「研究実績」にも示したが、2011年度の中国調査は北京、上海、香港及び台湾において遂行されたが、北京オリンピックや上海万博の後、北京および上海での近年の居住地域の編成の急激な変化と、各居民委員会(日本の自治会に相当)における住民の出入りの厳重な管理に応じて、われわれの過去の2回の調査で用いられたエリアサンプリング法を適用することが困難となった。現地調査協力機関との検討の結果、地点抽出された各居民委員会の入り口で当該の住民を性別・年齢層別に割り当て抽出するという方法に変更した。これに応じて、台湾及び香港でも同様の方法に変えた。 北京、上海、台湾では一応、予定通りの日程で調査が遂行できたのだが、香港の実査には、なれない方法を用いたためか、予想外の長い日月がとられ、調査完了は翌年度初めまで持ち越された。このため、データ・クリーニング作業および調査報告書作成がかなり遅延したが、最終的に2012年12月に完了し、国内額の関係機関や大学へ配布された。 この件も、現在の科学研究費の次年度持越し制度のおかげで、慎重に対処ができた。本研究計画の研究者たちは、2012年度遂行されたシンガポール、オーストラリア、及び韓国の調査実施に重なり、作業としては多忙になったが、予算執行上の責務を考慮すると、無理な研究作業につながる予算執行が求められなくなり、その点は安心して、研究活動ができるようになった。この新制度がもたらしている恩恵に深く感謝している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、シンガポール、オーストラリア、韓国、平成25年度はインドにおける標本抽出調査を予定している。また、タイ、マレーシア、フィリピン等の東南アジア各国の都市と地方の一部における面接調査を、統計技術的な問題やテロ等の治安問題を勘案しながら、小規模でも可能な範囲で遂行することを検討する。これらの海外調査に並行して、平成25年度には「第13回日本人の国民性調査」を遂行する。これは過去半世紀にわたる継続調査項目を主とする日本調査であり、国際比較版の22年度日本調査とリンクさせることにより、調査データの空間的解析と時間的解析の比較の要となる。 本計画の最終年度となる平成26年度には、以下のように、22年~25年度に収集した各国の調査データを総合的に分析し、最終報告書の作成と調査データ公開を中心として作業する。1)「アジア・太平洋価値観国際比較調査」最終報告書用分析を進める。2)前年度に遂行した「第13回日本人の国民性調査」の詳細な時系列解析を進める。3)上記の国際比較と時系列比較を交絡させ、各国の人々の意識構造の安定性と変容を浮き彫りにする。特に、各国の「信頼感」のあり方に焦点を当てた分析報告書をまとめる。4)「アジア・太平洋価値観国際比較調査」データのコンピューター・ネットワーク等を利用した公開作業を推進させる。同時に、国内外での学会やマスコミを通じて、最終的研究成果の発表を行う(注. 各国の調査データの解析結果の発表は、毎年、国内外の学会にて発表する)。状況に応じて、各国のデータ・アーカイブを通じたデータ公開の方策も考慮する。5)「アジア・太平洋価値観国際比較調査」総合報告書をまとめ、統計数理研究所 リポート等の形で発刊し、広く国内外に配布する。 最終的には、当初計画通りに、本計画を完了できると見通している。
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Research Products
(35 results)