2012 Fiscal Year Annual Research Report
秒角撮像遠赤外線干渉計による星生成領域核心部の観測
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22224002
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
芝井 広 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (70154234)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
住 貴宏 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (30432214)
深川 美里 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (40509840)
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Project Period (FY) |
2010-05-31 – 2015-03-31
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Keywords | 宇宙遠赤外線 / 気球搭載望遠鏡 / 干渉計 / 原始惑星系円盤 / 星惑星系形成 / 遠赤外線センサー / 赤外線星 / 姿勢制御 |
Research Abstract |
2012年度当初においては、次回もブラジルでフライトすることになっていた。しかしながらブラジルの経済発展のためにフライト基地周辺の開発が進み、気球フライト時の安全性が十分に確保できない可能性があるため、JAXA宇宙科学研究所は海外気球フライト事業の拠点をオーストラリアに変更することに決定した。本研究の宇宙遠赤外線干渉計FITEは、重量が約2トンを我が国のペイロードとして最重量であるために、オーストラリアの打ち上げ設備を新規に製作する必要があることなどから、2013年度のフライトは準備が間に合わないために、2014年度にフライトを行う計画になった(2012年11月)。 一方、オーストラリアでの気球フライトには、NASAと同じ安全基準が課せられることになり、我々のペイロードの構造強度を大幅に強化させる必要があることが判明した。このために結局2012年度は、構造全体の設計と新規製造に経費を使用した。この基準とは静荷重10gで破壊しないというものであり、設計は元より、製造時の環境管理、製造後の試験など、かなりの作業と費用が必要である。 このように、2014年度に観測フライトを実施することになったが、当初計画(計5回のフライト)は達成できない。しかしながら時間的な余裕ができたために、並行して、遠赤外線センサーの改良に取り組んだ。当初計画では我々が以前に開発した15素子の一次元アレイセンサー(圧縮型Ge:Ga、極低温冷却)を使用することになっていたが、15素子×5列(計75素子)のセンサーを開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、遠赤外線波長帯における世界初の干渉計望遠鏡であり、また地上ではない宇宙空間(スペース、成層圏とも)における初めての干渉計望遠鏡である。そのためにこの分野では欧米研究者から注目されている。NASAのGoddard宇宙センターでは、我々の技術を取り入れながら、かなり似た装置の開発を始めた。将来必ず、宇宙において干渉計望遠鏡が実現する筈であり、これに向けた基礎研究としても注目されていると考えている。これまでの達成としては、2010年度のフライトが、重要装置の不具合によって実施できなかったこと、その後の原因究明に時間を要したこと、JAXA宇宙科学研究所の方針として、場所がブラジルからオーストラリアに変更されたことの結果、次回のフライトが2014年度に設定されている。これに向けて、観測効率の向上などのために、遠赤外線センサーの改良に取り組んだ。当初計画では我々が以前に開発した15素子の一次元アレイセンサー(圧縮型Ge:Ga、極低温冷却)を15素子×5列(計75素子)に改良した。また、現地での干渉計光学調整を能率よく行うために、2ビーム同時シャックハルトマン波面センサーシステムを開発した。また、オーストラリアにおける安全基準を満たすために、オールCFRP製で構造強度を増したフレームを設計、製作した。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年にオーストラリアでの気球フライトが計画されている。2013年度はこれに向けて準備を進める。オーストラリアではNASAと同じ安全基準が課せられることになり、我々のペイロードの構造強度を大幅に強化させる必要があった。前年に製作した新しいフレームについて、2013年度今年度早々に強度試験を行う。また、新しい遠赤外線センサーシステムと干渉計光学調整装置を実装する。秋には全体を組み立てて試験を行い、2014年2月にはおストラリアに向けて発送する。2014年度当初からオーストラリアに滞在してフライト準備を行い、5、6月にフライトを行い観測を実施する。観測天体はIRC+10216とイータカリーナ星雲を予定している。観測データを速やかに解析するとともに成果を公表する。
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Research Products
(10 results)