Research Abstract |
本研究では,電子ビーム(以下EB)リソグラフィー法を基礎に様々な金属ナノ構造,即ち円形ディスクや金属薄膜に円形の孔の開いた円形ヴォイド(ナノドットと総称する)を設計された形状に配列した構造体を作成し,近接場光学像の測定と解析を通じて,光電場の時空間構造とそれを決めるプラズモン間の相互作用を解明することを第一の目的としている。本年度は,主として次年度以降の研究計画の本格実施に向けた準備期間と位置づけ,導入機器の検討と試料作成に向けた準備,及び予備的な金属ナノ構造の近接場測定を行った。まずEBリソグラフィーに必要なEB描画装置の選定を使用条件等の慎重な検討の上に行い,35nm程度のピッチの金属ナノ構造の作成が可能な機器の導入を決定し,納品を終了した。並行して,EB法による金属ナノ構造作製で経験のある研究室において作製技術の研修を行い,導入した装置でのナノ構造体作成の準備とした。また近接場分光イメージングシステムでは,波長1.6μm前後までの近赤外域での透過測定を可能とするよう,機器の拡張を行った。 ナノドット間の相互作用を系統的に検討するための準備として,有限差分時間領域(FDTD)法による電磁気学シミュレーションと結合双極子系の簡単なモデルによる,ドット集合系のプラズモンモードと電場の空間分布の検討を行い,モードの振動数と空間構造の間の定性的な相関についての知見を得た。
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