2011 Fiscal Year Annual Research Report
ナノドット配列における結合励起状態の時空間特性と励起場制御
Project/Area Number |
22225002
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
岡本 裕巳 分子科学研究所, 光分子科学研究領域, 教授 (20185482)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成島 哲也 分子科学研究所, 光分子科学研究領域, 助教 (50447314)
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Keywords | ナノ材料 / 走査プローブ顕微鏡 / 近接場 / プラズモン / 金属ナノ構造 / 電子線描画 / 励起状態相互作用 |
Research Abstract |
本研究では,電子ビーム(以下EB)リソグラフィー法を基礎に様々な金属ナノ構造,即ち円形ディスクや金属薄膜に円形の孔の開いた円形ヴォイド(ナノドットと総称する)を設計された形状に配列した構造体を作成し,近接場光学像の測定と解析を通じて,光電場の時空間構造とそれを決めるプラズモン間の相互作用を解明することを第一の目的としている。 本年度は,設計された金属ナノ構造の広波長帯域での近接場光学イメージングに向け,近接場二光子励起用広帯域波長可変光源の導入と,並行してEBリソグラフィーで作成した金属ナノ構造試料の近接場光学測定を行った。ナノドットが近接して規則配列した試料の作成技術を蓄積し,作成した金ナノ構造試料の近接場光学イメージングを開始した。二光子励起用広帯域波長可変光源としては,可視域から1.5μm程度までの波長が得られる同期励起パラメトリック発振光源を購入し,近接場光学系に組み込んだ。 また,プラズモンの位相緩和過程を直接検出可能な20fs以上の時間分解能を実現する近接場超高速測定システムを完成させ,EB法で作成した金ナノ構造試料について緩和過程の計測を行った。10fs以下の寿命の緩和過程が時間領域で近接場測定可能であることがわかった。更に,近接場円二色性測定装置の開発を進め,高い感度で試料の局所的な円二色性を計測可能とした。EB法で2次元のキラリティをもつ金ナノ構造体を作成し,その近接場円二色性イメージングを行い,実際にキラルなプラズモンによる局所的な円二色性が観測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,設計した金属ナノドット配列構造等について,広い波長域でプラズモンの空間特性を解明すること,超高速時空間特性を解明制御すること等を目標としており,それに向けた実験装置の整備と予備的な実験研究が進んでいる。また,2次元キラリティをもつ金ナノ構造の近接場イメージング等,新たな展開も生まれつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
EB法による試料作成技術の蓄積が進んできたので,今後研究目的に適合する様々な条件のナノドット配列試料を作成して,広い波長域での近接場測定を予定通り勧める。超高速測定についても,装置の最適化を勧めるとともに,解析に適したナノ構造試料の作成と,その近接場測定,励起の時空間特性の制御に向けた詳細な検討とそれに基づく計測を行う。近接場円二色性測定については更に高感度化を進め,2次元のナノキラリティをもつ試料の,円二色性の測定と,その発現機構の解明を勧める。
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