2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22226001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
新田 淳作 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00393778)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
好田 誠 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00420000)
手束 展規 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40323076)
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Project Period (FY) |
2010-05-31 – 2015-03-31
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Keywords | スピントロニクス / スピン軌道相互作用 / スピン生成 / スピン制御 / スピン検出 |
Research Abstract |
本年度は、スピン幾何学的位相が面内磁場により変調可能であることを実験的に検証することに成功した。これまで幾何学的位相はスピンの動的位相と分離することが困難であったが、理論との比較により純粋なスピン幾何学位相の変調であることを確認した。また、磁性体から半導体へのスピン注入は三端子測定と非局所四端子測定の間に大きな乖離があり三端子ハンル効果測定で観測される巨大信号の起源が不明であった。GaMnAs/GaAsスピンエサキトンネルダイオード構造を用いたスピン注入素子で三端子、非局所四端子測定を詳細に比較した結果、エサキディップバイアス電圧下では非局所四端子測定にも巨大スピン検出信号が得られることを発見し、トンネル微分抵抗がスピン信号の増幅効果をもたらすことを明らかにした。本成果は微小なスピン信号を適切なバイアス電圧下で増幅可能であることを示した重要な成果である。 スピン軌道相互作用は、電気的なスピン生成・制御・検出を可能にする。一方、スピン緩和の原因となることから、スピン緩和の抑制が重要な研究課題である。このスピン緩和抑制法としてRashbaスピン軌道相互作用とDresselhausスピン軌道相互作用の強さを等しくすることにより、スピン緩和の抑制された永久スピン旋回状態を形成できることが示されている。これまで輸送特性からこのRashbaスピン軌道相互作用とDresselhausスピン軌道相互作用を同時に決定することは困難であった。ゼーマン効果とスピン軌道相互作用により生じる干渉効果の異方性からRashbaスピン軌道相互作用とDresselhausスピン軌道相互作用の比をフィッティングすることなく直接求めることが可能であることを理論的な提案し実験的に検証した。またこの方法を用いてゲート電界により永久スピン旋回状態を実現することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
電子スピンはこれまで主に磁場や磁性体により生成・制御されてきた。電子スピンの存在する場所に比べて磁場の発生する空間は遙かに大きく、磁場発生に伴う多くのエネルギーが無駄になっていた。電子スピンを電界によって生成・制御・検出することはスピントロ ニクスの極めて重要な要素技術となる。これまでの研究期間に(1)スピン生成;Stern-Gelachスピンフィルターの実現、GaMnAsからの高効率スピン注入の実現(2)スピン制御;スピン永久旋回状態の電気制御、スピン幾何学位相の制御(3)スピン検出;スピン幾何学的位相の観測、スピン検出感度の増幅効果を実現・達成した。これは、磁場を用いる必要のないスピン軌道相互作用を用いた電界制御によるスピントロニクスの重要な要素技術の確立に相当する。また磁性半導体GaMnAsからGaAsへのエサキトンネル構造を用いたスピン注入による核スピンのスピン偏極を観測した。この結果は、磁場を用いることなくスピン緩和時間の極めて長い核スピンを偏極することが可能となり、メモリーとして応用することが期待できる。 これらの研究成果は、世界のスピントロニクス研究をリードするものでありその波及効果も大きい。以上の達成度を総括すると当初の目標を超える研究の進展があり、予定以上の成果が見込まれると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで、スピン軌道相互作用を用いたスピン生成・制御・検出の基本的要素技術を確立してきた。今後は、スピンデバイスの創製に向けた研究を加速する。 スピン幾何学的位相はベリー位相に対応しスピンに働くゲージ場としてスピンホール効果等重要な役割を果たす。これまでスピン幾何学的位相を面内磁場により制御することに成功してきた。今後は電界によるスピン幾何学的位相の制御を試みる。 ゼーマン効果と2つのスピン軌道相互作用の作る有効磁場(Rashbaスピン軌道相互作用の強さαとDresselhausスピン軌道相互作用β)の競合により、半導体細線構造を作ることによりα/βの比がフィッティングパラメタを一切用いることなく実験的に求められることを理論的に示してきた。この手法を適応することにより、電界制御によるPSH状態と逆永久スピン旋回状態(i-PSH)の転移を実現する。PSHとi-PHS状態の電界制御はスピン相補トランジスタの実現のみならず、スピン緩和の抑制されたスピントロニクスデバイスの基本となる。この電界制御に向けたヘテロ構造の最適化を図る。 ゲート電界によって制御可能な永久スピン旋回状態を用いて、相補的スピントランジスタを提案した。本スピン相補トランジスタを実現するには面直スピンの注入が重要で有り、引き続きFePt/MgO/半導体を用いた面直スピン注入の実験を行う。また、金属/半導体界面のスピン軌道相互作用の起源の解明、スピン軌道相互作用の強いPt等の非磁性金属からのスピン注入、スピン検出を試みる。 本研究期間中にスピン軌道相互作用の強い量子ポイントコンタクトを用いて、磁場や磁性体を一切使うことなく70%以上のスピン偏極したキャリアを生成することに成功した。今後は、スピン生成+検出デバイスの試作検討を行う。
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Research Products
(35 results)
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[Presentation] Comparison between optical Kerr detection and electrical 3T-Hanle effect of electrical spin injection in perpendicularly magnetized L10-FePt / MgO / GaAs structures2013
Author(s)
R. Ohsugi, J. Shiogai, M. Kohda, Y. Kunihashi, H. Sanada, T. Seki, Y. Sakuraba, M. Mizuguchi, H. Gotoh, T. Sogawa, K. Takanashi, and J. Nitta
Organizer
International conferenece on Spintronics and Quantum Information Technology
Place of Presentation
Chicago, USA
Year and Date
20130729-20130729
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