2010 Fiscal Year Annual Research Report
光および弾性波励起による磁化の超高速制御とその応用
Project/Area Number |
22226002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (S)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
宗片 比呂夫 東京工業大学, 像情報工学研究所, 教授 (60270922)
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Keywords | 機能性磁性体 / スピン軌道相互作用 / 超高速現象 / 新機能素子 |
Research Abstract |
10-20μm×100μm程度の寸法に加工した(Ga,Mn)Asマイクロバーにおいて、光誘起才差運動の周波数が大幅に低下することが明らかとなった。新規な合成磁石との位置づけでM/(Ga,Mn)As(M=Fe,Pt,Ni,MnAs)ヘテロ構造試料を真空一貫の手法で作製し、界面を横切るスピン流の効果や特殊な光励起効果の有無の研究を進めた。強磁性半導体を光励起するとスピン流が発生するとの仮説を提唱し、光誘起スピン流の実証と制御をめざし、隣接金属層が磁化の光誘起才差運動に与える動的影響を調べる目的でPt/(Ga,Mn)AsならびにFe/(Ga,Mn)As構造を取り上げた。前者において才差運動減衰の増大がスピンポンピング効果できれいに説明できることから、両層間で角運動量の流れ(スピン流)があることを確立した。後者においては、才差運動の減衰が外部磁場に依存して大きく変化する現象を世界に先駆けて見出した。具体的には、両層の磁化が平行だと減衰は最小で、直交だと最大になるという現象である。すなわち、直交状態で生ずる界面磁壁でスピン流の消費が最大になる。これを巨大磁気ダンピングと名づけた。弾性波誘起磁性のための実験装置、すなわち、ひずみ印加可能な試料台を作製した。熱収縮率の大きな銅製微小試料ホルダーでGaMnAs試料を固定した後で全体を冷却し、(Ga,Mn)As薄膜に一軸性圧縮ひずみを導入することのできる試料台である。副次的に見出した事実として、磁化の光誘起才差運動は金属的伝導特性を有する(Ga,Mn)Asにおいてのみ発生することを見出した。磁性体金属に関する研究では、低強度の光パルス励起によるGdFe試料での光誘起才差運動のコヒーレント制御をNHK放送技術研究所と共同で達成することができた。あわせて、石英溶融ガラス光ファイバーと試料が一体となった構造の作製の第一段階として、電通大レーザー研究センターと共同で光ファイバーのクラッド部分の選択的除去法の研究に着手した。
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Research Products
(12 results)